アスペでADDな母娘

自閉症児 in Canada

【無視】

チャーリーは、人を無視します。

ハーイ！と言われても、
調子はどう？と言われても、
すごいね！と言われても、全部無視です。


本人はわざと無視しているのでしょうか？


いいえ、残念ながら気づいていないのです。



みなさん、扇風機の音に話しかけますか？
扇風機の音はただの音です。
その音には意味も意思もありません。


でも、人の声は違います。
人の声には意味があり、誰かの意思があります。
これが、チャーリーにはわからないのです。


チャーリーは、
意味のある音と、意味のない音を聞き分けることができません。
人の声も、扇風機の音もチャーリーからすれば同じ。

まさか、人の声に意味があるだなんて、夢にも思っていません。


そしてそれはおもちゃも同じ。
みなさん、道路を歩いていて、石ころが落ちていたら
それがおもちゃだと思いますか？
誰も思わないでしょう。
なぜなら、その石ころはただ転がってるだけだからです。
意味があって、そこにあるわけではありません。
ただ、通り過ぎることでしょう。


では滑り台はどうでしょう？
滑り台はただ転がっているだけではありません。
「遊んでください」という確かな目的があってそこにあります。


チャーリーにはこの

「意味があってそこにある」のと
「特に意味はなくただ落ちているだけ」
の区別がつかないのです。

なのでおもちゃがあっても、
滑り台やブランコがあっても全て無視。
せいぜいかじる程度。


おもちゃや遊具の意味がわからないのです。
でも、私達の言葉もジェスチャーもわからないため
チャーリーの遊びを広げることはとても難しい状態にあります。


チャーリーを滑り台に持って行って滑らしたりはたくさんしますが、
あまり反応がないことが多いです。

まず、滑り台全体が見えていないので、
実は滑り台を滑っているということさえわかっていません。
自分が今どこにいて何をしているのか。

チャーリーには残念ながらわかりません。



まだ歩けないチャーリーは運動不足です。
手足の末端はキンキンに冷えて、
血流も悪いはずです。


なので、私達は滑り台などて遊ばすよりも、まずは歩いてもらうことにしました。

チャーリーは手を引きながらであれば
なんとか歩くことができます。

支えがなければ歩けません。


そこで、おもちゃや遊具は理解しなくてもいいから、
とにかく手を引いて支えながら歩かせることにしたのです。


すると、チャーリーはヨタヨタと歩いている間、
周りの景色を少しキョロキョロと見ているのです。



景色がどのように映っているかはわかりませんが、
これを続ければ少し視界が広がる可能性も期待できそうです。