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愛翔と優里亜

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 今日の体育は、バスケを試合形式でやるらしい。
女子は4チーム、男子は6チームで、トーナメント。
チーム分けは、先生がクラス関係なく事前に決めていた。

 私のチームに見慣れない細身の女の子がいた。
三つ編みに丸いメガネで、一応変装しているが、どうみても松下恵里奈ちゃんだ。
 何しろメガネをした時の愛翔にそっくりだから。

「あの…松下恵里奈ちゃん?」

「は、はい。良くわかりましたね。」

 男子の試合を見ながら、隅に座っている恵里奈ちゃんに声を掛けた。

「私の友達が、男子なんだけど恵里奈ちゃんにそっくりで、たまにメガネ掛けた顔も見ているから。
ほら、あそこに座っているよ。」

 恵里奈ちゃんも愛翔を見て驚いている。

「確かに私に似てるけど…私よりうちのパパの若い頃の写真にそっくりだわ。」

 その一言に引っ掛かりを覚えたが、すぐに私たちの番になって、立ち上がったため、そのままになってしまった。

「改めて松下恵里奈です。よろしく。」

「片瀬優里亜です。試合頑張りましょうね。」

 恵里奈ちゃんは、運動が得意なようだったけれど、ほかのメンバーと馴染みきれずに、チームプレーをするのは大変だったようで、一回戦負けになり、後は男子の応援に回ることになった。

「恵里奈ちゃん、奏くんも変装しているの?」

「優里亜ちゃんは、誰が来るか知っていたんだね。」

「この後、恵里奈ちゃんが行く家庭科部の部長だから、準備の為に先に聞いているの。他の人には言ってないよ。」

「奏くんは、あっちのチームみたい。」

 決勝戦は、愛翔のチームと奏くんのチームらしい。
愛翔は、比較的球技が得意なのと頭脳でみんなを動かす参謀タイプ。
奏くんは、バスケ経験者で中心になって動くタイプらしい。

 ここまでの試合でお互いライバル視していたのと愛翔の顔を見たせいか奏くんが、メガネを外して髪をかきあげた途端、体育館中に悲鳴が上がった。

「高橋奏くん!」

「キャー!」

 少しうるさくて耳を塞ぎながら恵里奈ちゃんは苦笑い。

「奏くん、自分からバラしちゃダメなのに…
まあ、優里亜ちゃんの彼氏が、あれだけイケメンだと目立ちたくなるか。」

「えっ。そんな事ないよ。」

「イケメンは否定しても彼氏は否定しないのね。」

「あははは…」

「まなとくんだっけ?モデルとか俳優に興味ないかな?」

「うーん。多分ないと思う。やりたいことが決まっているから。」

「そっか。残念。今度のドラマで私の兄役にぴったりなくらい、そっくりなのに。
でも、この試合がテレビで流れたら絶対スカウトとか問い合わせ来るよ。」

 恵里奈ちゃんの言葉に少し不安になった。
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