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父の苦悩 もしかして愚痴?

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 私、オーウェン侯爵ウィリアムの最近の悩みは、急に大人びた娘のキャロラインのことだ。

愛する妻ナタリーとの間にやっとできた一人娘でまだ6歳。眼に入れても痛くない、かわいいかわいいかわいい娘だ。

淡い金髪も綺麗な青い瞳も妻にそっくりで、友人の紹介で知り合った妻も幼い頃はきっとこんなに可愛らしかったのだろう。その頃に出会いたかった…

げふん。げふん。
妻は愛らしいがキャロラインも負けずにかわいい。
と周りから親バカと言われ、屋敷では使用人たちに生暖かい眼で見られている私だが、最近キャロラインがおかしいと思う。

突然、朝食のときに
「お父様。私、ずーっとお父様と一緒にいたいからお嫁に行かずにこの家を継ぎたいの。」
と言ってくれた。
それは、ずっとお父様が1番でお父様と結婚したいと言う意味かと嬉しくなったが、私にはナタリーがいる。
うれしいが、すごーくうれしいがキャロラインにもナタリーにとっての私が必要だと我慢して伝えた。

「そうか。嬉しいよ。でもキャルの王子様が見つかったら、寂しいけれど嫁に行ってもいいからな。」

するとキャロラインは、私のことは置いといてくらいの勢いで話を続けた。

「では、私がこの家にとっても、私にとっても一番いい相手を見つけて来るまで、よそから婚約のお話が来ても受けないでね。」

6歳の娘が自分でみつける⁈
早過ぎる!確かに貴族である以上、王家や他国、その他政略理由で婚約を10歳までにすることはよくある。
が、私自身そういったものに縁がなく、28歳でナタリーと知り合うまで女性と付き合うことはなかった。

キャロラインだって、いろんな場所で知り合った中から見つけてくれればいいと思っていた。

ところが、その話をした2日後、たまたま部屋で領地の書類を片付けているとキャロライン付きの侍女が1人、部屋に駆け込んできた。

「旦那様、大変です。お嬢様がマーサさんの息子さんに告白してプロポーズしてます!」

「なんだって⁈」

私がキャロラインの部屋に行くと年齢の割にしっかりしていると思っていたマーサの確か次男だったと記憶しているアレクが顔を赤らめながら、キャロラインにクッキーを食べさせてもらっておしゃべりしている。

キャロラインがここ2日、

「お父様失敗したけど食べて。」

と笑顔でくれたのは、これの失敗作だったのか?
成功したものは、もらってないぞ!

とにかくはっきり言っておかねば、キャロラインが突っ走りそうだ。

「キャル。私は相手を自分で見つけていいとは言ったが、まだ早過ぎないかい?アレクくんも含めてゆっくり探せばいいから。」

「じゃあ、アレクも候補の1人で、ほかにお話があれば会うけれど、私の気持ち優先してね。おとうさま!」

ナタリー!キャロラインが、私の元から巣立ってしまうよー。



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