上 下
4 / 17

3

しおりを挟む
早速2日後にアレクに来て欲しいとマーサにお願いした。
いままで、メアリーの来る事が主でアレクはオマケくらいに思っていたマーサは、びっくりしていたがにっこり笑って

「メアリーには内緒にしましょうね。焼きもちやいてしまうから。」
と言ってくれた。

マーサにアレクの好きなお菓子がクッキーと聞いて早速作ることにしたが、なかなか美味しくできなくてお父様に失敗作をたくさん食べさせてしまったが、料理長に合格をもらえたので、綺麗に盛り付けて、お茶と一緒に出すように侍女に頼んだ。

アレクは約束通りに遊びに来てくれた。 

「アレク!久しぶりね。元気だった?」

多分この歳の私とは1ヶ月ぶりくらいだが、18歳の私は、10年ぶりなので、淑女としては、ダメだけど
嬉しくなりいきなり抱きついてしまった。

「キャロライン様。どうかしましたか。ずいぶん甘えん坊さんですね。」

いま9歳よね?18歳の私でもドキドキする大人な雰囲気とキラキラ王子様感。年上だから落ち着いていると思っていたけれど、違うわ。アレクは、かっこいい。
抱きついてしまったことを恥ずかしいと思って、おずおずと離れようとすると優しく頭をポンポンされる。

「それで、僕だけ呼んでどうかしましたか?」

「あのね。お父様とお話したの。ずーっとこの家にいたいから、私がこの家にとっても、私にとっても一番いい相手を見つけて来るまで、よそから婚約のお話が来ても受けないでねって。だからいま一番大好きなアレクじゃダメかなぁって。」

瞳うるうるにしてアレクを見上げてみる。

「うっ。かわいすぎる。」

アレクが何かつぶやいていたが小さすぎて聞こえなかった。

「お嬢様。アレクでは侯爵家と家格が合わないのですが。」

普通なら来客時に壁に徹するマーサが自分の息子だからか口を挟む。

「マーサ。私が侯爵家を継ぐためのお婿さんだから、大丈夫よ。
私、アレクのためにクッキー作ったのよ。食べてね。」

身体は6歳、頭の中は6歳と18歳が混在する状態なので、アレクを好きな気持ちを自覚する18歳に自由な6歳が拍車をかけてると自分でも思う。

アレクと隣同士でソファーに座りクッキーを食べながら仲良くおしゃべりをしていると、そこへなぜかお父様がやって来た。どうやら侍女の誰かが私のアレクへのプロポーズを告げたらしい。

「キャル。私は相手を自分で見つけていいとは言ったが、まだ早過ぎないかい?アレクくんも含めてゆっくり探せばいいから。」

「じゃあ、アレクも候補の1人で、ほかにお話があれば会うけれど、私の気持ち優先してね。おとうさま!」

とりあえずお父様よりアレクの方が大切なので、(もちろん好きだけど、アレクがいれば破滅エンドに向かわなくて済む)アレクとのお茶会に集中するのだった。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

悪役令嬢は処刑されました

菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

押し付けられた仕事は致しません。

章槻雅希
ファンタジー
婚約者に自分の仕事を押し付けて遊びまくる王太子。王太子の婚約破棄茶番によって新たな婚約者となった大公令嬢はそれをきっぱり拒否する。『わたくしの仕事ではありませんので、お断りいたします』と。 書きたいことを書いたら、まとまりのない文章になってしまいました。勿体ない精神で投稿します。 『小説家になろう』『Pixiv』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

処理中です...