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エイミーが、機嫌を直してから1週間ほど経ったある日、王宮内でくだんのターナー伯爵が私に声をかけて来た。
「ギルフォード公爵、殿下のご機嫌はいかがですか。」
「ターナー伯爵、殿下に余計な話を持っていかないで下さい。おかげで執務室で遭難者が増産されました。」
「それは申し訳なかった。ところでギルフォード公爵は、まだ独身でいらっしゃいましたよね。うちの娘なんてどうですか。」
エイミーたちが拗れて迷惑かけられて、まだ幾日だ?王子の側妃がダメなら私とは節操のない。
「いえ、私はまだ王子の側近として修行中の身、結婚など考えておりません。」
「そうですか。では失礼します。」
なんなんだ⁈
あまりにも余裕が無いターナー伯爵がなんとなく気になって、少し調べることにした。
ターナー伯爵レイノルズ 35歳
令嬢 クリスティア 8歳
はぁ?8歳って、私より10歳も年下?まだ子どもじゃないか。私はロリコンでも自分好みに育てる嗜好もないぞ。
アーノルドが即答で断れなかったのって年齢聞いてフリーズしたせいか?
あまりに?が浮かび過ぎたので、集めた資料を読み進めることにした。
レイノルズは、妻ルーシー(前サンド侯爵次女)を2年前に亡くし、知人の紹介で元男爵夫人を後妻を迎えた。
後妻と15歳になる連れ子が、伯爵の留守中、クリスティアを虐めている事が発覚したが、伯爵は手をこまねいている…
クリスティアの避難先を探しているのか?とりあえず婚約させて、行儀見習いとか花嫁修業のとか理由をつけて相手の家に住まわせるために…
それから数日、ターナー伯爵を見ていると私と同年代の既に働いているか、爵位を継いでいる男に次から次へと声をかけている。
まだ爵位を継いでいないものだとすぐに婚約が成っても自宅から出せないからなんだろうか。
ただ、私と同年代は、まだ結婚したばかりの者が多く側室を置く余裕はないぞ。
なんとなく、クリスティアがどんな娘なのか、気になってきた。
いや、断じて私はロリコンではない。
私の視線を感じたのか、振り返ったターナー伯爵と目が合った。
「ターナー伯爵。先日の話だが…」
「ギルフォード公爵、先日とは?」
私に結婚話を打診したのを忘れたのか?惚けているのか?
もしくは、何人も声をかけ過ぎて誰に言ったか忘れたのか?
「あなたのご令嬢との結婚話ですが…確認ですが、あれはターニャ嬢とですか?それともクリスティア嬢ですか?」
ふと連れ子の厄介払いの可能性も頭に浮かび、確認する事にした。
「クリスティアです。まだ8歳ですが、大人になれば10歳差など気にならなくなると思います。」
「それは、10年ほど婚約期間を設けて、我が家と繋がりが欲しいという事ですか?」
「いえ、婚約期間はそちらにお任せします。すぐに結婚でも構いません。お恥ずかしい話ですが、妻とクリスティアが上手くいっていなくて、しかし私は妻の事を離縁したくないくらいに想っているので…クリスティアは、婚約者に託そうと考えまして。」
勝手だな。
「一度、クリスティア嬢とお会いしてから、決めても良ければどうですか。」
「ぎ、ギルフォード公爵。宜しいですか?ありがとうございます。」
手をブンブン振られて、自分がクリスティア嬢との結婚話に前向きに動いてしまった事に気付いた。
やってしまった!ただの興味本位だったはずなのに。
「では明後日、公爵邸にクリスティアと伺いまーす。」
スキップするかの様に去って行くターナー伯爵を私は呆然と見送るだけだった。
「ギルフォード公爵、殿下のご機嫌はいかがですか。」
「ターナー伯爵、殿下に余計な話を持っていかないで下さい。おかげで執務室で遭難者が増産されました。」
「それは申し訳なかった。ところでギルフォード公爵は、まだ独身でいらっしゃいましたよね。うちの娘なんてどうですか。」
エイミーたちが拗れて迷惑かけられて、まだ幾日だ?王子の側妃がダメなら私とは節操のない。
「いえ、私はまだ王子の側近として修行中の身、結婚など考えておりません。」
「そうですか。では失礼します。」
なんなんだ⁈
あまりにも余裕が無いターナー伯爵がなんとなく気になって、少し調べることにした。
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はぁ?8歳って、私より10歳も年下?まだ子どもじゃないか。私はロリコンでも自分好みに育てる嗜好もないぞ。
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あまりに?が浮かび過ぎたので、集めた資料を読み進めることにした。
レイノルズは、妻ルーシー(前サンド侯爵次女)を2年前に亡くし、知人の紹介で元男爵夫人を後妻を迎えた。
後妻と15歳になる連れ子が、伯爵の留守中、クリスティアを虐めている事が発覚したが、伯爵は手をこまねいている…
クリスティアの避難先を探しているのか?とりあえず婚約させて、行儀見習いとか花嫁修業のとか理由をつけて相手の家に住まわせるために…
それから数日、ターナー伯爵を見ていると私と同年代の既に働いているか、爵位を継いでいる男に次から次へと声をかけている。
まだ爵位を継いでいないものだとすぐに婚約が成っても自宅から出せないからなんだろうか。
ただ、私と同年代は、まだ結婚したばかりの者が多く側室を置く余裕はないぞ。
なんとなく、クリスティアがどんな娘なのか、気になってきた。
いや、断じて私はロリコンではない。
私の視線を感じたのか、振り返ったターナー伯爵と目が合った。
「ターナー伯爵。先日の話だが…」
「ギルフォード公爵、先日とは?」
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「それは、10年ほど婚約期間を設けて、我が家と繋がりが欲しいという事ですか?」
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勝手だな。
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「ぎ、ギルフォード公爵。宜しいですか?ありがとうございます。」
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やってしまった!ただの興味本位だったはずなのに。
「では明後日、公爵邸にクリスティアと伺いまーす。」
スキップするかの様に去って行くターナー伯爵を私は呆然と見送るだけだった。
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