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あっという間に2月になり、お兄様の卒業式とアーノルドの帰国の時期になった。身重な私は、学園の卒業式も行けず、結局『恋する聖女~ハートのAを探して』の断罪イベント時期に学園にいない、
婚約者ですらないし、アランというメイン攻略対象とヒロインは退場しているから悪役令嬢にならないだろう。しかも人妻妊婦というモブにもならない存在でホッとしている。
アーノルドは、私にベタ甘でヒロインらしき人は現状いないし、今後、側妃が来ても私が正妃に決まっている状態なので、アーノルドの心は縛れなくても立場的には揺るがない。
子どもが男の子なら、側妃も入る可能性が更に減るそうだしね。
アーノルドとお兄様は、馬車ではなく騎乗で、競うように帰ってきた。
「エイミー、ただいま。」
「おかえりなさい。アーノルド。」
私を優しく抱きしめるアーノルドにタッチの差で負けたお兄様は、悔しそう。
「お兄様、おかえりなさい。」
「エイミー、ただいま。」
2人を同じように迎えるとお兄様は機嫌がなおったが、今度はアーノルドが不機嫌になる。
「せっかく勝ったのに…」
「アーノルド、がんばったのね。」
私が
「いいこ、いいこ。」
と頭をなでると耳を赤くしている。
ベビーちゃん、あなたのパパは、今日め甘えん坊ですよ。
そして6月末
「まだ、生まれないのか?」
「殿下、ここは男性入室禁止です。」
陣痛に辛そうな私を気遣って、部屋に居座ろうとして、執務室に返品されるアーノルドがいた。
私はそんなアーノルドを苦笑いで見送ってから3時間後
「ふんぎゃー、んぎゃっ」
「おめでとうございます。妃殿下。男の子、王子です。」
渡されたタオルに包まれた我が子に心が温かくなる。
そこにアーノルドが飛び込んで来て抱きしめられた。
「ありがとう。エイミー、嬉しいな。」
「男の子ですって。」
「名前を考えないとな。」
「アーノルドが考えてね。」
「うむ。」
王子は、リチャードと名付けられた。
かわいい子どもに愛する旦那様。
うん、とっても幸せ。
なんか忘れているような…
あっ!!
私の目標、お兄様の小姑になることだった。
私が幸せになっちゃって、すっかり忘れてた。
お兄様と言えば、アーノルドの側近として、仕事をしながら毎日のように私のところを訪れ、アーノルドが
「パパを間違えるからやめてくれ。」
というほどのリチャードを我が子のように可愛がっている。
こんなんじゃ、お兄様は結婚できるのかしら?
私は自分が幸せになっても小姑をやりたいなんて、ちょっと考えていた。
******************************
ここで一旦、エミルフェシアのお話は終わりです。
この次からアルヴィン視点の話になります。
婚約者ですらないし、アランというメイン攻略対象とヒロインは退場しているから悪役令嬢にならないだろう。しかも人妻妊婦というモブにもならない存在でホッとしている。
アーノルドは、私にベタ甘でヒロインらしき人は現状いないし、今後、側妃が来ても私が正妃に決まっている状態なので、アーノルドの心は縛れなくても立場的には揺るがない。
子どもが男の子なら、側妃も入る可能性が更に減るそうだしね。
アーノルドとお兄様は、馬車ではなく騎乗で、競うように帰ってきた。
「エイミー、ただいま。」
「おかえりなさい。アーノルド。」
私を優しく抱きしめるアーノルドにタッチの差で負けたお兄様は、悔しそう。
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2人を同じように迎えるとお兄様は機嫌がなおったが、今度はアーノルドが不機嫌になる。
「せっかく勝ったのに…」
「アーノルド、がんばったのね。」
私が
「いいこ、いいこ。」
と頭をなでると耳を赤くしている。
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そして6月末
「まだ、生まれないのか?」
「殿下、ここは男性入室禁止です。」
陣痛に辛そうな私を気遣って、部屋に居座ろうとして、執務室に返品されるアーノルドがいた。
私はそんなアーノルドを苦笑いで見送ってから3時間後
「ふんぎゃー、んぎゃっ」
「おめでとうございます。妃殿下。男の子、王子です。」
渡されたタオルに包まれた我が子に心が温かくなる。
そこにアーノルドが飛び込んで来て抱きしめられた。
「ありがとう。エイミー、嬉しいな。」
「男の子ですって。」
「名前を考えないとな。」
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「うむ。」
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「パパを間違えるからやめてくれ。」
というほどのリチャードを我が子のように可愛がっている。
こんなんじゃ、お兄様は結婚できるのかしら?
私は自分が幸せになっても小姑をやりたいなんて、ちょっと考えていた。
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ここで一旦、エミルフェシアのお話は終わりです。
この次からアルヴィン視点の話になります。
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