王妃候補は、留守番中

12.

学校の開校式には、公爵様と夫人を資金援助者の来賓として招待した。教会を兼ねた学校の講堂には私たち家族と公爵夫妻、教師に出迎えられて子どもたちが入ってくる。今は7歳から10歳までで全員でも25人しかいないが、みんな嬉しそうで私も嬉しかった。

学校は、授業料、教材は無料、領内の子どもなら誰でも通学が出来る。教師は読み書き、計算を主に教えるが、3年目からは農業や商業、職人、家政などやりたい職業の入門編な勉強をすることで、修行や就職の準備をする場にしていくつもりでいる。
放課後は、大人たちに開放し教師はいないが文字や計算、裁縫、大工などお互いに教え合う場として使うつもりだ。
これからみんなで作っていくのだ。

式が終わり、みんなが解散すると公爵夫人が私のところに来てくれた。

「セリーナ。開校おめでとう。」
「ありがとうございます。」
「元気そうでなによりだわ。ここへ来る前にアイリスのところにも寄って来たのよ。女の子が生まれたのよ。」
「おめでとうございます。アイリス様はお幸せそうでしたか。」
「セリーナに会って謝りたいって言ってたわ。」
「そのうちお会いしたいとお伝えください。謝らないでいいですから。」
「そう言っておくわね。」
「マリーたちは元気ですか？」
「マリーとオリバーは今、アイリスたち家族のそばにいるから、うちの領地に行けば会えるわよ。そう言えば、うちの領地の学校の建設も手伝ってくれるんでしょ？その時に公爵邸に滞在すれば、あの子たちに会えるわね。」
「そうですね。」

公爵様にも挨拶したいし、公爵領の学校建設についても話がしたいが、式典の後、どこかへ行ってまだゆっくり話せていない。
お父様や教師たちと今後の打ち合わせをしているとやっと公爵様が戻ってきた。