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侍女用の部屋に荷物を置いて、お嬢様の部屋に向かう。
考えたら紹介状とかないのに、よく雇ってくれたものだ。私が不審者だったら、どうするつもりだったんだろう?
それに頼んでいた侍女さんが来たら、私が怪しい人になってしまう?
「あのアグネスさん、私は紹介状もないのに雇っちゃって良かったのですか。」
「この家は、影が守っているから不審な行動をとった途端にみんないなくなるもの。おかげですぐ人手不足になるのよ。」
なんか、さらっと恐ろしいこと言ったような気がする。影って伯爵は何者?多少の不安はあるが、まずはお嬢様よね。
お嬢様の部屋は日当たりはよいのだが、少し雰囲気が暗い。お嬢様は、ベッドにもたれて本を読んでいた。
「お嬢様、新しい侍女のエリーです。」
「エリーと申します。よろしくお願いいたします。」
「そう、よろしくね。」
お嬢様は、少し癖のある淡い金髪に紫色の瞳の可憐な少女という感じだ。ただ顔色があまり良くない。
とりあえず、部屋のすみで待機する侍女と交替して立つ。お嬢様の様子を見つつ、部屋の快適化にこころを砕くことが仕事だ。
2時間ほどで交替し、掃除など別の仕事や休憩時間になるので、3人でシフトを組む。夜はさらに別に2人で前半、後半の5時間交替で休暇の1人を入れ6人1チームになるそうだ。このシフト制は、お嬢様が病弱なための特別シフトらしい。
今日は侍女頭のアグネスさんと一緒に説明を受けながらやることになる。ちなみに1人辞めてしまい、現在休暇が少なくなっていたらしく、シフトメンバーの皆さんには大歓迎されている。
しばらくお嬢様の様子をみていて、いままで診てきた患者さんと似たような症状に気づいた。
「アグネスさん。この部屋、少し換気していいですか。あとバラのような香りは、お嬢様の好みですか?」
「いえ。奥様がせめて女の子らしいお部屋にしたいとおっしゃって。香りがどうしたの。」
「もしかするとバラの香りがお嬢様の体に合わないかもしれません。」
早速、換気をしてシーツや枕カバーなどを新しい香りのしないものに変える。部屋にあった花びんも片付ける。しばらくするとお嬢様の顔に少し赤みが戻った。
「エリー、どういうことなの?」
「前に同じような患者さんがうちの診療所に通ってたんです。特定の物に過敏に反応して、熱や咳が出たりして悪化するとなくなることもある病気で、完治は難しいのですが、周りに置かないことを気をつければ普通に生活が出来ます。」
「すごいわね。」
「ホーリーウッド王国のですが、医療補助の資格を持っていて、医師の父の診療所を手伝っていましたから。」
「わかったわ。今日のことは、旦那様に報告して、お嬢様のために色々改善してもらいましょう。」
アグネスさんの指示でほかの侍女さんたちにもバラ禁止令が徹底された。
考えたら紹介状とかないのに、よく雇ってくれたものだ。私が不審者だったら、どうするつもりだったんだろう?
それに頼んでいた侍女さんが来たら、私が怪しい人になってしまう?
「あのアグネスさん、私は紹介状もないのに雇っちゃって良かったのですか。」
「この家は、影が守っているから不審な行動をとった途端にみんないなくなるもの。おかげですぐ人手不足になるのよ。」
なんか、さらっと恐ろしいこと言ったような気がする。影って伯爵は何者?多少の不安はあるが、まずはお嬢様よね。
お嬢様の部屋は日当たりはよいのだが、少し雰囲気が暗い。お嬢様は、ベッドにもたれて本を読んでいた。
「お嬢様、新しい侍女のエリーです。」
「エリーと申します。よろしくお願いいたします。」
「そう、よろしくね。」
お嬢様は、少し癖のある淡い金髪に紫色の瞳の可憐な少女という感じだ。ただ顔色があまり良くない。
とりあえず、部屋のすみで待機する侍女と交替して立つ。お嬢様の様子を見つつ、部屋の快適化にこころを砕くことが仕事だ。
2時間ほどで交替し、掃除など別の仕事や休憩時間になるので、3人でシフトを組む。夜はさらに別に2人で前半、後半の5時間交替で休暇の1人を入れ6人1チームになるそうだ。このシフト制は、お嬢様が病弱なための特別シフトらしい。
今日は侍女頭のアグネスさんと一緒に説明を受けながらやることになる。ちなみに1人辞めてしまい、現在休暇が少なくなっていたらしく、シフトメンバーの皆さんには大歓迎されている。
しばらくお嬢様の様子をみていて、いままで診てきた患者さんと似たような症状に気づいた。
「アグネスさん。この部屋、少し換気していいですか。あとバラのような香りは、お嬢様の好みですか?」
「いえ。奥様がせめて女の子らしいお部屋にしたいとおっしゃって。香りがどうしたの。」
「もしかするとバラの香りがお嬢様の体に合わないかもしれません。」
早速、換気をしてシーツや枕カバーなどを新しい香りのしないものに変える。部屋にあった花びんも片付ける。しばらくするとお嬢様の顔に少し赤みが戻った。
「エリー、どういうことなの?」
「前に同じような患者さんがうちの診療所に通ってたんです。特定の物に過敏に反応して、熱や咳が出たりして悪化するとなくなることもある病気で、完治は難しいのですが、周りに置かないことを気をつければ普通に生活が出来ます。」
「すごいわね。」
「ホーリーウッド王国のですが、医療補助の資格を持っていて、医師の父の診療所を手伝っていましたから。」
「わかったわ。今日のことは、旦那様に報告して、お嬢様のために色々改善してもらいましょう。」
アグネスさんの指示でほかの侍女さんたちにもバラ禁止令が徹底された。
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