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ウェルナート

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僕はベッドに身を横たえられていた。
意識を取り戻してすぐ、あの勇者の青年が頭を垂れる。
「俺は地球から召還された勇者です。」
青年が語る。
名前なんかも名乗ってた気がしたけど、覚えるつもりなんてないからどうでもいい。
「聖母様、俺は勇者でありたいだけです。真実、あなたの洗脳も解いてあげたい。」
「もう諦めろ勇者。他に洗脳を解くアイテムなりが必要なのだろう。」
後から入って来た男に勇者は下がらせられる。
そうだ、この男も洗脳なんて吹き込んでる当人だ。
「さて聖母よ。」
ギシリと僕が寝かされてるベッドの音が鳴る。 
聖母聖母言ってるんだからそういう事だとは思ってたけど。
自害は絶対に駄目…自分に言い聞かせた。
結界を張るには相手との距離が近過ぎる。
どうしたら……もういいか。
繁栄でも何でも使えばいい。
「身体の力を抜いたという事は、俺に身を委ねるのだな。」
男が僕の頬に手を掛ける。
繁殖したいならキスなんて必要ないのに。
男の唇が僅か数センチに差し掛かった時…。
僕の身体は転移させられた。
「え……え?」
僕の身体をしっかり抱き締めているのは、間違いなく…。
というか。
「ウェルナート様っ!?」
姿はアレク様そっくりで、でもカラーリングはブルーで…。
「待たせて悪かった。後で全部説明する。」
涙が止まらない。
もうぼろぼろと塞き止められないほどに。
「まずは奴らをどうにかするぞ。リシェは俺とリシェを結界で常に覆ってくれ。」
「わかった!」
ウェルナート様は僕の涙を一筋だけ指で拭うと、それにチュッと口付けた。
終わったら、残りを拭ってくれるつもりだと思う。
僕は言われた通り結界を張る。
常に攻撃上昇などのバフを与え続ける祝福も掛け続けて。
ウェルナート様は連続転移をして攻撃の隙を伺いながら、勇者と男の攻撃を避け続ける。
僕が掛けている結界に変化が無いということは、ウェルナート様が全部避けてるということで…。
「貰った!」
男の攻撃範囲から出て且つ勇者に攻撃を当てる。
ウェルナート様の魔法が勇者の剣を打ち砕いた。
「勇者よ撤退を!」
分が悪いと悟った男が僕を拐おうと手を伸ばしてくるけど、フルパワーで張った僕の結界は何者をも通さない。
あの剣も無いから平気だし。
ウェルナート様は姿をアレク様に変えていた。
アレク様の神力が戻って来るのを確かに感じる。
「逃がさん!」
アレク様が超高速の闇弾を男に喰らわす。
男の回復が間に合わず、塵微塵になる。
神は核が壊れない限り肉体は存在し続ける。
アレク様は敢えて男の核を壊さず、連弾を撃ち込み続け、ボロボロになり手足の部分を動かす事が出来ない男が無抵抗に立ち尽くすしかなくなった時点で、何かの箱で封印してしまった。
「勝手に転移させられたのと地球出身のよしみだ。お前は今回だけ逃がしてやる。」
アレク様は視線を勇者に移し告げる。
勇者は僕をちらりと見る。
当然アレク様は常に勇者を警戒している。
僅かの後、諦めたように勇者は転移で去った。
「逃がしちゃっていいの?」
「勇者の能力が未確定だからな。今回は泳がす」
地球云々はハッタリだったらしい……。
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