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第二章 side:リシェール

第三話 少年王子は魔力チート王子と出会う  ~ ※

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 パーティーには一人で参加していた。
 近くに兵は居るけど。
 サフィには残ってもらい、復興の処理をしてもらっている。
 両親が亡くなったためか、他国の王子が気を遣うように頻繁に挨拶に来てくれたので、孤独になる事は無かった。

 不意に視線を向けた先に居たウェルナート王子とばっちり目が合って…びっくりした。
 だってまさかいきなり目が合うなんて思わなかった。
 長身でイケメン…凄く人目を引く。
 ……なのにどこか近寄りがたそうなオーラを出して見える。

 でも…お礼なら言われても損は無いよね?
 実際助けられた。
 決心すると笑顔を浮かべて近付き、挨拶と礼を伝えた。
 ちゃんと会話してくれている。
 何か嬉しいな、だって魔法だよ?
 使えるっていいなーって憧れてしまう。
 噂とは違う好印象を会話や態度で感じたので、そのままウキウキと会話に興じてしまった。
 頼れる大人が初めて出来たようで嬉しかった。


 復興作業が一段落すると、王子は学校に通わなければならない。
 なんかそういう設定なので学校に通う。
 僕がこの世界に来たのは学校休校後なので、『僕』としては初めて通う。
 と言うか、全寮制だから学校に来たら国には帰らず寮暮らしになる。
 これは身分関係無く全員共通だ。

 学校に着いた途端、ピンク髪の子に腕にいきなり抱き付かれた。
 一瞬女の子かと思ったけど、そんなはずはない。
 振り払うわけにもいかないのでそのままで。
「リシェ王子様ぁ、初めましてぇ。ナザリ・レイシスって言いますぅ。」
 何だか語尾が間延びしていて気になる。
 初対面で愛称で呼んでくれちゃってるんですけど、これはどう扱ったらいい案件なんだろう、困り果ててしまう。
「おいナザリ、お前の父親が呼んでるぞ。校長室だ早く行け。」
 声を掛けてくれたのはウェルナート様だった。
 敬称が様なのは英雄の称号を得ているから。
「ウェルナート王子様ぁ、校長室までエスコートしてくださぁい。」
「断る。」
「じゃあリシェ王子様に……」
「ちっ、他に迷惑掛けるな、行くぞ。」
 二人は校長室に向かう事になったようだ。
 勝手にナザリはウェルナート様の腕に抱きついている。
 不意に踵を返したウェルナート様が顔を振り返らせると、薄く笑みを向けてくれた。
 大人だ…。
 ともあれ助かった。
 やっぱりカッコいいな、ウェルナート様。




 …何か自分に出来ることは無いかな。
 他国の王子様方は秀でた能力を持っている。
 火魔法とか弓だとか。
 ウェルナート様の多属性は異質なので別として。
 リシェールは光属性と剣に秀でているが、光属性は代々で薄まってしまっている。
 せいぜいが光の属性を物に付与する事しか出来ない。
 せっかく光属性と言えば治癒魔法なのに、母親から上手く遺伝しなかったらしい。
 とすると出来る事は剣くらいしか……。
 ただこれも欠点がある。
 腕力があまり無いため軽い剣しか持てない。
 そんな剣で切っても余りダメージが与えられない…というわけで。

 今から剣を振ってるだけでも腕力は付いてくれるかな?
 と期待を胸に、出来るだけ人目に付かないようにして、朝早くの素振りを始めることにした。
 何でコソコソしているのかと言うと、日本人の僕には剣を振るとか恥ずかしいから。
 朝早くなので誰の姿も見えないけど念の為、校庭の隅の方を陣取らせてもらう。
 一応剣に属性付与をしてみる。
 魔法は使えなくてもこれなら、自分の属性に意識をしてそこに移すようにするだけ。
 巧く剣が金色の光を薄く放ってくれた。
 そのまま剣を振ってみるが、巧く振れてるのか気になる。
 人来てないよね?と振り返ったら、いつから見てたのかウェルナート様の姿があった。
 うわ……恥ずかしい!
 しかもバッチリ目が合ってしまった。
 そうなると黙ってるわけにはいかなかったので、顔の熱が引かないままでも挨拶するしかなかった。
 ウェルナート様は特に気にしてる風でも無い。

 そのまま言葉を交わしていると、段々ウェルナート様の様子が変わり始める。
 どことなく目の前の僕を見ていないような……そう言う自分も何か引っ掛かりを覚える。
 …何だろう?
 
 途中で愛称を呼ばれてびっくりした。
 でもナザリの時と違って悪い気はしない。
 嬉しくなって笑顔を浮かべてしまう。
 
 だってその呼び方は……あれ、何だったっけ?
 変に思われないように「両親が呼んでいた」と誤魔化す事でその場は凌いだ。

 会話を続けながら違和感の正体を探っていた。
「俺はリシェの事が好きだ。子供にこんな好意は向けたりしない…。」
 思ってもいなかったタイミングで告白されて驚いた。
 でも、どうしよう?
 だってあっち元の世界でもまだ僕は初恋もした事が無い。
 気持ち的には、恋愛なのか憧れなのかわからない程度には好きだから、受けてしまっても良いと思うんだけど。
 でも僕もウェルナート様も第一王子。
 つまり両方が国を継ぐから駄目なのでは?
 リシェールとして返事をするしかない。
「あの……ご免なさい…。」 
 そう答えた瞬間、リシェールのウェルナート様との記憶がフラッシュバックする。
 
 力づくで組み敷かれるリシェール。
 泣き叫んで血塗れになっても続けられる凶行。
 思わず身体が震えてしまいそうになる。
 駄目だ、怖がっている事に気付かれちゃいけない。
 今の映像は…もしかして変えるのはここだと、リシェールが教えてくれている?
 でも映像が強烈過ぎて、僕は気付けばウェルナート様に伸ばされた手を振り払ってしまった。
 怒らせた?
 ウェルナート様の眼差しに暗い物が宿ったように見える。
 伸ばし直された手に後頭部が掴まってしまい、そのまま抱き込まれて唇が塞がれてしまう。
 荒々しい大人のキス。
 無理矢理入り込んで来る舌。
 なのに怖く感じない。
 合間合間に薄く目を開くと、ウェルナート様が切なそうな顔をしていたから。
 先程見た衝撃的な光景が薄らぐ。
 もう……怖くない。

 長いキス。
 脚が震えてしまうので、ウェルナート様の胸元を掴んでしまう。
 もう僕の口で舐められていない所は無いんじゃない?という程に舌で舐められていた。
「ぅ……ふっ…ぅ。」
 甘ったるい感じに吐息が漏れてしまう。
 腰にも力が入らない。

 口付けから解放されてゆっくりと目を開く。
 二人の口の間に唾液の銀糸が伝っている。
 ウェルナート様が舌でそれを絡め取ってしまう。
 大人のキスってこうなんだ……。
 息が上がって顔が赤くなって頭がボーッとする。
 荒くなった呼吸のままでぼんやりとして視線を合わせて、体重を寄りかからせてしまう。
 足腰が震えてしまって立っていられなかったから。
 ウェルナート様が息を飲むと僕を抱き上げる…お姫様抱っこってやつ?
 『煽られてるよな…。』って聞こえて来たけど…?




  ウェルナート様の部屋に着くとベッドに横たえられた。
  家具は元々寮で用意されている物だからほぼ変わらないけど、物が殆んど無いんだな。
  ついうっかり部屋を物珍しそうに見てしまう。
  魔法の本とか謎の道具とかは無さそう。
  聞いてみようかと考えていたら、ウェルナート様の重みが乗ってくる。

  そ、そうだ、ここベッドの上じゃないか。
  好意を向けてくる相手とこの態勢はもうあれしか無い。
  って、経験無いから詳細はわからない。
  リシェールの記憶は断片的だから、全体像はわからないし。
  確か痛がってたけど、あの時のように無理矢理ではないから、優しくしてくれるよね?

 キスから色んな箇所に触れられて、僕が僕じゃなくなるような感じ。
 普通なら汚くて触れない所とか、僕本人も触った事が無い箇所まで。
「あ……ぁんっ…!」
 僕のものとは思えない声が止められない。

 他人の手でイかされるのなんて初めてなのに、気持ち良くて堪らない。
「ああっ!ああ…なんか……きちゃ…うぅっ!ふぁぁっ……ああああんっっ!!」
 達して射精してしまいながら上がってるのは、僕の声?
 それが恥ずかしくて、ずっと両手で握りしめていたシーツを更に強く握り締めた。
 もう頭が巧く回らない。
 抵抗するとか考える事も出来なくなっていた。



  
  股間に与えられる快感に喘ぎ身悶えていると、後孔に異物感。
  指?ぬるぬるして出入りしてる。
  指の侵入を阻止しようとしても、今度は指の代わりに舌が入って来た。
  柔らかい舌が壁を這うような蠢きをする。
「あ……い…ぃ……っ!」
  わかる…腰がくねってしまってる。
 喘ぐ言葉が気持ち良いと言いそうになってる。
 もう何が何だか…。
 「ひぁあっっ!?」
 不意にウェルナート様の指が一点を突くと電流が走ったような感覚。
 変に高い声が漏れてしまう。
 みっともなくも腰を前後してしまう。
 後ろはひくひくして指をねだってしまっている。
「も……っ…!ああっ…!また……イっちゃうぅ……!ゃああ…っ!!あああ――っ……!」
 腰をガクガクと震わせながら、部屋に声を響かせて、初めてなのに後ろでイってしまった…どうしよう。
 直後にウェルナート様もイったようで目の前にあったモノが放った液体が顔に降って来た。
 口を開けていたのでちょっと飲んでしまった…。
 正解だったのかな?
 精を放ったからか思考がようやく少し戻って来る。
 しまった、ウェルナート様の放置してた!
 僕もするべきシチュエーションだったんだよね、多分…。
 遅くなったけど間に合うかな?
 ウェルナート様のモノに手を伸ばして触れてみると、硬くなった。
 何故かウェルナート様は身を放す。
 違った?
 どうすればと、問う前に荒々しいキスが落とされる。
 キスだけなのに変な声が出て恥ずかしい!
 唇が離れてしまうと飲み込み切れなかった唾液が口端から零れ出てしまっていて。
 きっと恥ずかしい表情が浮かんでいるんだろうな。
 今日一日で何回死ぬ程恥ずかしい思いをしただろう。

 困った……こんなことをされるのが嫌じゃないなんて…。
 ウェルナート様と視線が絡む。
 途方に暮れてしまい、まだ涙の残る目で見上げるように問い掛けを向けてみる。
 ウェルナート様の眼差しが変わった。
 獲物を狙うようなちょっと怖いと感じる眼差しに。

 直後、ウェルナート様に後孔を貫かれた。
「――っ!!…っ……ぅ…!!」
 痛い!痛過ぎて叫びたいのに息が詰まって声が出ない!
 緩めるとか思い浮かぶわけもない。
 ウェルナート様の声だけ聞いて、無意識に言われた通りにしていた。
 いつの間にかほんの少しだけ下半身の強張りが解けつつあった。
 そのタイミングを計っていたように中に入っていたモノが突き上げるように律動し始めた。
 先端が的確にさっき激しく感じた箇所を狙うように突いてくる。
 一突きで凄く感じるのに何度もされたらもう…!
「あああっ!!もぅ……だめ…ぇぇ!だめぇっ!!あああ――っっんんっ!!」
 もう何も考えられなくなって、きっと愉悦の表情を浮かべてしまってるんだろう。
 シーツの上で無意識に腰を仰け反らせて震えさせ、爪先をぴんと伸ばすようにして何度も射精してしまった。

 その後、出るものも出なくなっても、ウェルナート様が中に放つまで、何度もイかされたような気がする…。
 いつの間にか意識が落ちていた。




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