こぼれ話(人はこもごも)

志乃さんの妹たち(1)

志乃さんの妹たちは、数えるくらいしか会ったことない。

その数回でも、明るくて楽しいおばちゃんたちだったのを覚えている。



せんちゃんはおしゃまさんだった。まだ小娘だったころ「姉ちゃんキスしたことある？」って嫁入り前の志乃さんに聞いてきて、志乃さんはあきれたと言っていたけど、面白がってる風だった。

せんちゃんは堀端(ほりばた)に嫁にいった。堀端は私の地元では、宿場で馬の休憩所のことを指す。お城の堀じゃないんだけど。水があるからかな？？今、その呼び名を知ってる人はほとんどいないんじゃないかな。
でも旦那さまの仕事は宿場の主人ではなく、近衛兵でした。
旦那さまはせんちゃんが大好き。里帰りで実家に戻っても、毎日せんちゃんの顔を見に実家に来る旦那さま。

もうひとりの妹すみちゃんが、よく愚痴を言っていた。
せんちゃんと農協の旅行にいっしょに行くとき、すみちゃんは前日にせんちゃんちに泊まる。
翌朝、旅行に行く前に、奥の部屋から旦那さまが「おせん」と呼びかけて手招きする。そんで、朝から奥の部屋で致しはじめるのよ。


いや、これから旅行に行くんですけど・・・


ショボい気持ちで姉夫婦の営みが終わるのを待つすみちゃん。
「手招きしてんのよ！まったく！」って怒って志乃さんに報告。笑える。

せんちゃんが「旦那が構いすぎる！」って実家によく逃げてきてたと聞いたけど、それはアレかな。アレだね。そーゆーことだったんだね。