CLOVER

猫町氷柱

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掌中の珠

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「瑞希、 お前なんてことを……」

「お兄ちゃんは私だけ見てればいいの。私がお嫁さんになって
一生面倒見てあげる……でもそのためにあの女は邪魔だった。
だから消したの。私たちの愛を邪魔するものはたとえお兄ちゃん
の好きな人であってもね」

「お前……狂ってるよ。メールや街角の写真も全部お前がやったのか?」

「そうよ、 ずっと後をつけてたの。お兄ちゃんたちはイチャイチャ
してたから気づく素振りもなかったけど」
瑞希は怒りを思い出したのか声のトーンが下がった。
まさか瑞希がここまで病んでるとは知らなかった。
俺は瑞希が異常な愛を抱いているとは気づけなかった。

もしかしたら俺が瑞希に構う時間がどんどん減ったことも原因かもしれない。
俺は意を決して振り返った。妹の顔が見たくなったから。
すると血に塗れた、 涙を流している瑞希がいた。
変わり果てた姿、 青白く精気のないか細い手、 明らかに生きている
とは思えなかった。

俺は瑞希に誓った。これからはずっと守っていくとそして瑞希を力強く
抱きしめた。やってしまったことは取返しがつかない。だが、 この
悲劇を二度と起こさないためにも妹を守ると決めた瞬間だった。
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