250 / 256
7 お化け屋敷と空中ブランコ
35
しおりを挟む
「それ、自分でいう?」
目を細めて言った柚子に対して、乙葉はなにが悪いのか、とでもいうような顔をした。
「でも、そっか。ブランコ好きってこと、覚えていてくれたのね」
組んだ手をひっくり返し、そのまま頭上に腕を伸ばしながら、すこし照れたように、柚子が言った。
「ええ。だって柚子、よく公園で乗っていたでしょ?」
言いながら乙葉は、柚子がまだ小さかったころを思い出していた。
「まあね」
感慨深そうに柚子が言った。
「ねえ、ところで、どうしてあんなに、ブランコが好きだったの?」
急に思いついた乙葉が言った。
「まあ、それには、深い事情があるのよ」
言いたくないのか、柚子は言葉をにごした。
「なに、それ。そんな風に言われたら、すごく気になるじゃない。お姉ちゃんに教えなさいよ」
乙葉が言った。
「いやですー、教えません」
外方を向きながら、柚子が言った。
それを聞いた乙葉は、とっさに柚子の腕をつかみ、揺すると同時に、
「えー? そこまで言ったのに? 教えないなんて、ずるいわよ」と言った。
そこへ、これまで地上から高い地点で飛んでいた、ルーカスがやってきて、
「なになに? 二人とも、なんの話?」と、興味津々で聞いた。
「なんでもないわよ、ルーカス」
柚子が言った。
しかし乙葉はすぐに、柚子の腕を離して、ルーカスにさきほどのことを耳打ちして聞かせた。
するとルーカスは、何度も頷きながら、
「うん、うん」と、乙葉の話に、耳を傾けている。
「ちょっとお姉ちゃん! こそこそと二人だけで、一体なにを話しているのよ」
柚子が怒って言った。
目を細めて言った柚子に対して、乙葉はなにが悪いのか、とでもいうような顔をした。
「でも、そっか。ブランコ好きってこと、覚えていてくれたのね」
組んだ手をひっくり返し、そのまま頭上に腕を伸ばしながら、すこし照れたように、柚子が言った。
「ええ。だって柚子、よく公園で乗っていたでしょ?」
言いながら乙葉は、柚子がまだ小さかったころを思い出していた。
「まあね」
感慨深そうに柚子が言った。
「ねえ、ところで、どうしてあんなに、ブランコが好きだったの?」
急に思いついた乙葉が言った。
「まあ、それには、深い事情があるのよ」
言いたくないのか、柚子は言葉をにごした。
「なに、それ。そんな風に言われたら、すごく気になるじゃない。お姉ちゃんに教えなさいよ」
乙葉が言った。
「いやですー、教えません」
外方を向きながら、柚子が言った。
それを聞いた乙葉は、とっさに柚子の腕をつかみ、揺すると同時に、
「えー? そこまで言ったのに? 教えないなんて、ずるいわよ」と言った。
そこへ、これまで地上から高い地点で飛んでいた、ルーカスがやってきて、
「なになに? 二人とも、なんの話?」と、興味津々で聞いた。
「なんでもないわよ、ルーカス」
柚子が言った。
しかし乙葉はすぐに、柚子の腕を離して、ルーカスにさきほどのことを耳打ちして聞かせた。
するとルーカスは、何度も頷きながら、
「うん、うん」と、乙葉の話に、耳を傾けている。
「ちょっとお姉ちゃん! こそこそと二人だけで、一体なにを話しているのよ」
柚子が怒って言った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる