ルーカスと呪われた遊園地（上）

５ ドキドキ観覧車

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　すると、ルーカスは乙葉に近寄り、
「えっと——観覧車の頂上で、男女が抱き合うと、付き合えるらしいよ」と、耳元でこっそりささやいた。
　抱き合うという言葉を聞いた乙葉は、ポッと顔をほてらせると、
「へ、へえ、そうなの」と言った。
　あの時、偶然ゴンドラが風で揺れて、京一と抱き合う形になってしまったわけだけど、頂上だったかどうかまではわからない。
　でも、もし抱き合った地点が頂上だったら——そう考えたら、乙葉はますます、顔が赤くなるのだった。
　ルーカスはそんな乙葉を見て、いつものように、顔をにやにやさせていた。
　いけない。これでは本当に、京一のことが好きみたいだ。
　いや——もしかすると、本当に好きなのかしら？
　いよいよ乙葉は、自分の気持ちが、よくわからなくなってきていた。
　困惑しながらも、気づいたら、門の扉の前に到着していて、周りに緊迫したムードが漂いはじめた。
「よし、開けるぞ」
　意気込んでいる京一が、鍵穴の中に鍵を差してまわした。
　しかし鍵は開かずに、
「……ちがう」と、眉をしかめながら、京一が言った。
「次、次行こう！」
　前向きに、柚子が言った。
　近くにいる皆が見守る中、京一は次々と、鍵をためした。
　しかし結果的に、どれもはずれだった。残すは最後のひとつというところで、全員は、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「…………はあ、これもちがう」
　京一は落胆から、鍵を投げ捨てた。
　その場にいた全員は、肩を落としてガッカリした。
　それも無理はない。せっかく見つけた頼みの綱だったのだから。
　皆がガッカリしていた頃、乗り物酔いをして休んでいた久遠が、あとからやってきた。
「みなさーん！　お待たせしましたー！」