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5 ドキドキ観覧車

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「観覧車に乗れるなんて、私とっても嬉しい!」
 柚子が喜んで言った。
「わーい! 観覧車、観覧車!」
 ルーカスも大喜びだった。
 そんな中、乙葉は一人、ぼんやりしながら、
「観覧車かあ……」と、呟いていた。
 結局、あれからルーカスに、観覧車のジンクスを聞けていないままだけど、乗ったら一体どうなるんだろう。乗った人は全員、一生幸せになる、とか、願いが一つ叶う、とか、そういうのだったらいいな。
 乙葉はワクワクした気持ちになって考えた。
 その時、京一がなにも言わない乙葉を見て、
「乙葉は?」と尋ねた。
「もちろん、私も乗るわ!」
 即座に乙葉が答えた。
「そうか。じゃあ早速、いまから全員で、観覧車に乗りにいこう」
 京一のかけ声により、五人は園内のどの場所からでも見ることができる、観覧車を目指して歩いた。
 それからしばらくたって、観覧車の前に到着すると、ルーカスが突如、頂上まで飛び上がりはじめた。
 皆、ルーカスが飛んでいる姿を、唖然としながら見上げていた。
「えへへー。見てみて! すごいでしょ」
 得意げな顔で、ルーカスが地上にいる皆を見下ろした。
「本当、すごいです」
 感心しながら久遠が言った。
「お姉ちゃんの言うとおりね。ルーカスって、本当に空を飛べるんだ」
 あらためて柚子が言うと、次はルーカスをうらやましそうな目で見て、
「いいなあ、あんなに自由に空を飛べるなんて、さぞかし楽しいんでしょうね」と言った。
「おーい、ルーカス! みんなと一緒に、観覧車に乗らなくていいのか?」
 京一が呼んだ。
「早く戻ってこないと、お前だけ置いて、俺たちだけでさっさと乗ってくるぞ」
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