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5 ドキドキ観覧車
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「京一くーん!」
「助けにきましたよー!」
柚子も久遠も、声が枯れるのではないかと思うほど声をかけつづけた。しかし誰からも、なんの返事も返ってこない。聞こえてくるのは木々のざわめきだけ。
二人の顔には、だんだんと焦りが見えはじめてきた。
「本当にここにいるんですかね」
不満を抱いた柚子が言った。
「いるはずです」
久遠が言った。
「でも、いまのところ全くいる気配ないし——キャッ」
話している途中で、柚子は突然、なにかにつまずき、その場にころんだ。
「どうしました⁉︎」
久遠が動揺しながら、懐中電灯の光を柚子に向けた。
光をあてられた柚子は、尻もちをつきながら、
「ちょっと、なにかが足に引っかかっちゃって」と、顔をしかめながら言った。
「大丈夫ですか?」
そう言うと、久遠は柚子に手をさし出した。
柚子はその手をとって立ち上がると、
「はい、なんとか」と言った。
「ならよかったです」
安心した顔で久遠が言った。
「それにしても、一体なににつまずいたんですか?」
「えっと——」
そう言うと、柚子は自分の足元を懐中電灯で照らした。
すると、不気味なピエロの顔の置物が、いきなり柚子の目に飛びこんできた。
柚子はそれが見えた瞬間、
「ひっ」と、悲鳴を上げ、その置物からサッと目をそらした。
「多分これです」
「助けにきましたよー!」
柚子も久遠も、声が枯れるのではないかと思うほど声をかけつづけた。しかし誰からも、なんの返事も返ってこない。聞こえてくるのは木々のざわめきだけ。
二人の顔には、だんだんと焦りが見えはじめてきた。
「本当にここにいるんですかね」
不満を抱いた柚子が言った。
「いるはずです」
久遠が言った。
「でも、いまのところ全くいる気配ないし——キャッ」
話している途中で、柚子は突然、なにかにつまずき、その場にころんだ。
「どうしました⁉︎」
久遠が動揺しながら、懐中電灯の光を柚子に向けた。
光をあてられた柚子は、尻もちをつきながら、
「ちょっと、なにかが足に引っかかっちゃって」と、顔をしかめながら言った。
「大丈夫ですか?」
そう言うと、久遠は柚子に手をさし出した。
柚子はその手をとって立ち上がると、
「はい、なんとか」と言った。
「ならよかったです」
安心した顔で久遠が言った。
「それにしても、一体なににつまずいたんですか?」
「えっと——」
そう言うと、柚子は自分の足元を懐中電灯で照らした。
すると、不気味なピエロの顔の置物が、いきなり柚子の目に飛びこんできた。
柚子はそれが見えた瞬間、
「ひっ」と、悲鳴を上げ、その置物からサッと目をそらした。
「多分これです」
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