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5 ドキドキ観覧車

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 西に向かった乙葉は、ついて早々、鍵探しを開始していた。
 道を歩くたびに、目をこらすのだが、鍵らしき物は、ひとつも見当たらなかった。
 それに、いくつか設置してあるゴミ箱の中や、自販機の中も、まだ見ていないところはすべて確認したけれど、いずれも空だった。
 乙葉は困りながら、ひたすら西を歩いていると、少しさきに、なにやら木の影に隠れていて、見えづらくなっている、四角い建物を見つけた。
 あれはなんだろうと思いながら、その建物に近づいていくと、だんだんと、姿があきらかになっていった。
「ミラーハウス……?」
 乙葉は建物を見上げながら、ボソッと呟いた。
 そう、どうやらここは、この遊園地のアトラクションのひとつである、ミラーハウスのようだった。
 建物の外観は、全体が白く塗装されており、上部には、ミラーハウスの名前が、垂れたような赤文字で書かれてあった。そして壁には、コウモリやクモの巣などのイラストがあり、お化け屋敷ほどこわくはないが、恐怖心をあおるような見かけになっていた。その上、建物の前には看板が置かれていて、見ると、短い文章が書かれていた。

『ここから先は、鏡の迷路になっている。おどろくような仕かけがいくつもあり、君を不思議な世界へと、連れていくだろう。ただの鏡の世界だとあなどるなかれ』

「まあ……」
 乙葉は思わず、感心しながら見ていた。
 ミラーハウスなんて、これまでの人生の中で、一度も入ったことはなかった。けれども、大体は想像がつく。一人で入るのは少しこわいけれど、乙葉は思い切って、中に入ってみることにした。
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