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4 妹の決断
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父がニュースの途中でテレビを消した。そしてひじをついて、顔の前で手をくむと、テーブルの上に視線を落とし、なにやら考えこんでいるように見えた。
「とうとう全国ニュースに、お姉ちゃんたちが映っちゃったわね」
感心しながら柚子が言った。
「そんな感心している場合じゃないでしょう」
母が呆れて、柚子に言い返した。
すると、突然、誰かのスマホがふるえた。
「あら、私のよ」
母がそう言うと、早速、スマホを手にして見始めた。
「大変だわ。このニュースが流れてから、スマホの通知が全然鳴り止まない。友達とか、ふだん全く連絡しない人たちから、乙葉を心配するラインが、何十件も届いてる」
ひどく困惑しながら、母が言った。
そして、またスマホがふるえたかと思いきや、今度は父の方だった。柚子は遠目から、父の画面をのぞき見た。すると、母と同じく、連絡が何件も届いているようだった。
ふだん、スマホをサイレントモードにしていた柚子も、なにか届いているのではないかと思い、自分のスマホを見ると、案の定、姉を心配するラインが、何件も来ていた。
「柚子、あなた学校は?」
母にいわれ、時計を見ると、じこくはすでに、八時半になっていた。
「大変っ、完全に遅刻だわ!」
そう言うと、柚子は朝食を一口も食べずに、玄関へと走った。
そんな柚子を見て、
「柚子、朝食はいいの?」と、母が走る柚子の背中に向かって、声をかけた。
「今日はいらないわ。時間がないもの」
柚子は後ろを振り向かずに、大きな声でそう言った。
するとリビングから、
「まあ」と、母のおどろく声が聞こえた。
柚子はそれから、靴をはいて、玄関の扉をあけると、門から少しはなれた場所に、報道陣と思われる人が、数名いるのがわかった。
「とうとう全国ニュースに、お姉ちゃんたちが映っちゃったわね」
感心しながら柚子が言った。
「そんな感心している場合じゃないでしょう」
母が呆れて、柚子に言い返した。
すると、突然、誰かのスマホがふるえた。
「あら、私のよ」
母がそう言うと、早速、スマホを手にして見始めた。
「大変だわ。このニュースが流れてから、スマホの通知が全然鳴り止まない。友達とか、ふだん全く連絡しない人たちから、乙葉を心配するラインが、何十件も届いてる」
ひどく困惑しながら、母が言った。
そして、またスマホがふるえたかと思いきや、今度は父の方だった。柚子は遠目から、父の画面をのぞき見た。すると、母と同じく、連絡が何件も届いているようだった。
ふだん、スマホをサイレントモードにしていた柚子も、なにか届いているのではないかと思い、自分のスマホを見ると、案の定、姉を心配するラインが、何件も来ていた。
「柚子、あなた学校は?」
母にいわれ、時計を見ると、じこくはすでに、八時半になっていた。
「大変っ、完全に遅刻だわ!」
そう言うと、柚子は朝食を一口も食べずに、玄関へと走った。
そんな柚子を見て、
「柚子、朝食はいいの?」と、母が走る柚子の背中に向かって、声をかけた。
「今日はいらないわ。時間がないもの」
柚子は後ろを振り向かずに、大きな声でそう言った。
するとリビングから、
「まあ」と、母のおどろく声が聞こえた。
柚子はそれから、靴をはいて、玄関の扉をあけると、門から少しはなれた場所に、報道陣と思われる人が、数名いるのがわかった。
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