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4 妹の決断

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 ペロッと舌を出して、ルーカスが言った。
「まあ。探してくれたと聞いた時は、少し感心したのに、呆れたわ。やっぱり寝ていたんじゃない」
 乙葉が言った。
「まあ続きを聞いてよ」
 乙葉をおさえるように、ルーカスが言った。
「それで一時間くらいして起きたら、京一がいなくなってたからさ、どこにいるか探しにきたってわけ。でも、まさかこんなところに、バーサークも合わせて三人もいるとは、思わなかったよ」
 気の抜けるような声で、ルーカスが言った。
「途中で寝に帰ったことはどうかと思うけど、なるほど、そういうことだったのね」
 納得して乙葉が言った。
「おーい、ポンコツグマのポンコツン! そんなところでなにしてるんだよー。もしかして、京一と決闘とか?」
 バーサークを挑発するように、ルーカスが言った。
「おいそこ、うるさいぞ! お前には関係ない、引っこんでろ! それに俺様は、ポンコツグマのポンコツンなんかじゃないっ」
 バーサークが憤慨ふんがいしながら言った。
「あっそう」
 素っ気なくルーカスが言った。
「ねえ、京一も乙葉も、こんなやつなんかとかかわってないでさ、はやく帰ろうよ。僕眠いしさ」
「いや、こいつは生かしておけん。例のバーサークってやつは、こいつなんだろ? だから、こいつは俺が倒す」
 京一はなぜか、バーサークと戦う気満々でいる。
「誰が俺様を倒すだって?」
 聞き捨てならないとでもいうように、バーサークが言った。
「笑わせてくれる! やれるものならやってみろ!」
「ああ、やってやるさ」
 にやっと笑って、京一が言った。
「京一、そんなこといってないで、もう帰りましょうよ」
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