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4 妹の決断
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「えっ⁉︎ 京一くんが?」
驚愕した柚子は、ソファからいきおいよく立ち上がった。
「ああ、昨日の夜からコンビニにいったきり、家に帰ってこないそうだ」
父がそう言うと、母が突然、なにかを思いついたように、口をひらいた。
「ひょっとして、京一くんも、あの山の頂上にいったんじゃないかしら」
その母の言葉に、柚子は思わず、自分の耳をうたがった。
「それは違うわよ、お母さん。京一くんがリスクを背負ってまで、そんな危険なところに、いくわけないじゃない。お姉ちゃんじゃあるまいし」
柚子がはっきりとそう言った。
「でも私、昨日の夜、京一くんのお母さんに、乙葉がいなくなったことを連絡したのよ。だから、私たちの話を聞いた京一くんが、心配して、乙葉を探しにいったのかもしれないわ」
思い詰めたような顔で、母が言った。
そんな、母が京一の母に連絡をしたなんて、知らなかった。それでは、乙葉を探しにいったとしか言いようがない。柚子は、その事実にショックを受けて、なにも言葉が出なくなった。
「そうか。それは大変だ。すぐに京一くんのお母さんにも、そのことをつたえよう」
父が言った。
「そうね」
そう言うと、母は早速、京一の母に連絡をしはじめた。
まさかあの京一くんが、危険をおかしてまで、乙葉を助けに行くなんて——信じたくなかったが、これであの二人は、おなじ場所にいるということが、あきらかになった。柚子はそのことに、少しヤキモチをやきながらも、乙葉と京一の二人が、ひとまず無事であることを祈った。
♢♢♢
驚愕した柚子は、ソファからいきおいよく立ち上がった。
「ああ、昨日の夜からコンビニにいったきり、家に帰ってこないそうだ」
父がそう言うと、母が突然、なにかを思いついたように、口をひらいた。
「ひょっとして、京一くんも、あの山の頂上にいったんじゃないかしら」
その母の言葉に、柚子は思わず、自分の耳をうたがった。
「それは違うわよ、お母さん。京一くんがリスクを背負ってまで、そんな危険なところに、いくわけないじゃない。お姉ちゃんじゃあるまいし」
柚子がはっきりとそう言った。
「でも私、昨日の夜、京一くんのお母さんに、乙葉がいなくなったことを連絡したのよ。だから、私たちの話を聞いた京一くんが、心配して、乙葉を探しにいったのかもしれないわ」
思い詰めたような顔で、母が言った。
そんな、母が京一の母に連絡をしたなんて、知らなかった。それでは、乙葉を探しにいったとしか言いようがない。柚子は、その事実にショックを受けて、なにも言葉が出なくなった。
「そうか。それは大変だ。すぐに京一くんのお母さんにも、そのことをつたえよう」
父が言った。
「そうね」
そう言うと、母は早速、京一の母に連絡をしはじめた。
まさかあの京一くんが、危険をおかしてまで、乙葉を助けに行くなんて——信じたくなかったが、これであの二人は、おなじ場所にいるということが、あきらかになった。柚子はそのことに、少しヤキモチをやきながらも、乙葉と京一の二人が、ひとまず無事であることを祈った。
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