56 / 256
3 メリーゴーランド
16
しおりを挟む
無愛想な顔をして、京一が答えた。
「へえ、そっかあ! よろしく!」
とびきり笑顔で、ルーカスが言った。
「ああ、よろしく」
素っ気なく、京一が返事をした。
「乙葉だけじゃなくて、立て続けに京一まで、この遊園地に来てくれるなんて、僕、すごくうれしいよ。これで遊び相手がまた一人増えた」
ご機嫌になって、ルーカスが言った。
京一は、そんなルーカスを見て苦笑すると、
「じゃあ乙葉、いますぐここから出るぞ」と、乙葉を見て、急かすように言った。
「いや、帰るって、いつでも帰れるくらいなら私、今頃、もうとっくに帰ってるわよ」
戸惑いと怒りが混じった声で、乙葉が言った。
「それ、どう言うことだよ。まさか、ここから出られないってことか?」
眉をしかめて、京一が言った。
「そのとおり! ここからは出られないよ」
乙葉のかわりにルーカスが答えると、そのまま宙に、ふわりと浮き始めた。
「はっ?」
その宙に浮かんでいるルーカスを、はじめて見た京一は、驚いて目を丸くしたようだった。
「こいつ、浮いてるっ……!」
「こいつじゃないよ! 僕はルーカス!」
ルーカスが、眉を吊り上げて言った。
「別に、どっちでもいいだろ。それより、ここはなんだ? こいつは浮いてるし、廃墟の遊園地でもないし」
周囲を見まわしながら、混乱した様子で、京一が言った。
「もしかして俺たち、死んだのか?」
「いいえ、私も最初はそう思ったわ。でも、死んでないのよ」
すかさず乙葉が言った。
「だってほら、頬をつねったら痛いでしょ?」
そう言うと、乙葉は、自分の頬と京一の頬を、思い切りつねった。
「いたっ! おいお前、もうつねるのはいいから、離せよ」
「へえ、そっかあ! よろしく!」
とびきり笑顔で、ルーカスが言った。
「ああ、よろしく」
素っ気なく、京一が返事をした。
「乙葉だけじゃなくて、立て続けに京一まで、この遊園地に来てくれるなんて、僕、すごくうれしいよ。これで遊び相手がまた一人増えた」
ご機嫌になって、ルーカスが言った。
京一は、そんなルーカスを見て苦笑すると、
「じゃあ乙葉、いますぐここから出るぞ」と、乙葉を見て、急かすように言った。
「いや、帰るって、いつでも帰れるくらいなら私、今頃、もうとっくに帰ってるわよ」
戸惑いと怒りが混じった声で、乙葉が言った。
「それ、どう言うことだよ。まさか、ここから出られないってことか?」
眉をしかめて、京一が言った。
「そのとおり! ここからは出られないよ」
乙葉のかわりにルーカスが答えると、そのまま宙に、ふわりと浮き始めた。
「はっ?」
その宙に浮かんでいるルーカスを、はじめて見た京一は、驚いて目を丸くしたようだった。
「こいつ、浮いてるっ……!」
「こいつじゃないよ! 僕はルーカス!」
ルーカスが、眉を吊り上げて言った。
「別に、どっちでもいいだろ。それより、ここはなんだ? こいつは浮いてるし、廃墟の遊園地でもないし」
周囲を見まわしながら、混乱した様子で、京一が言った。
「もしかして俺たち、死んだのか?」
「いいえ、私も最初はそう思ったわ。でも、死んでないのよ」
すかさず乙葉が言った。
「だってほら、頬をつねったら痛いでしょ?」
そう言うと、乙葉は、自分の頬と京一の頬を、思い切りつねった。
「いたっ! おいお前、もうつねるのはいいから、離せよ」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
妻がエロくて死にそうです
菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。
美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。
こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。
それは……
限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
そんなふうに見つめないで…デッサンのモデルになると義父はハイエナのように吸い付く。全身が熱くなる嫁の私。
マッキーの世界
大衆娯楽
義父の趣味は絵を描くこと。
自然を描いたり、人物像を描くことが好き。
「舞さん。一つ頼みがあるんだがね」と嫁の私に声をかけてきた。
「はい、なんでしょうか?」
「デッサンをしたいんだが、モデルになってくれないか?」
「え?私がですか?」
「ああ、
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる