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3 メリーゴーランド
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やがて、クモが塵取りの上にのったのを確認した途端、急いで窓から外ににがした。
無事に蜘蛛を逃すことに成功した乙葉は、安心して一息つくと、再び掃除に戻った。寝ているルーカスを起こさないように、乙葉はなるべく静かに、小屋の中を歩いた。
そうして黙々と、一人で掃除を行なっていく中、乙葉はあることに気づいた。それは、この小屋の中に、扉を開ける鍵が、隠されているかもしれないということだった。
乙葉はそのことに気づいてから、部屋の中を、隈なく確認しながら、掃除をした。
それから、あっという間に日が昇ってしまった。乙葉は一睡もすることなく、必死で掃除と鍵探しを続けていた。
しかし、一晩かかって探しても、結局鍵は見つからなかった。
その代わり、小屋は見違えるほどきれいになり、快適な居住空間へと変貌を遂げた。
ムダな物はひとつもなく、実用的な物だけが、小屋に置かれている。
そしてなによりも、これまでほこりまみれで、灰色の絨毯がしかれているように見えた床、黒く汚れた壁、あちこちにクモの巣が張られていた天井は、全てピカピカに磨かれ、輝きを放っている。また、それだけではなく、今まで物に隠れて見えなかった暖炉が、物を動かしたことで出現し、いまでは素敵なインテリアとして、役目を担っていた。
やっとのことで、すべての掃除が終わった乙葉は、満足し、一人でその空間を見て、酔いしれていた。
「ううん……おはよう。乙葉」
掃除が終わってすぐに、起きたばかりで、まだ眠そうな目をこすっている、ルーカスが言った。
「あ、おはよう。ルーカス」
乙葉が言った。
「えっ⁉︎ なにこれ、ここどこ⁉︎」
寝る前に見た小屋の景色とまったくちがうことに、ルーカスはかなりおどろいているようだった。
「どこって、ここはルーカスの家よ」
笑いながら乙葉が言った。
「でも、前はこんなにきれいじゃなかったよ。なにがあったの? 乙葉が掃除したの?」
混乱しながらルーカスが言った。
無事に蜘蛛を逃すことに成功した乙葉は、安心して一息つくと、再び掃除に戻った。寝ているルーカスを起こさないように、乙葉はなるべく静かに、小屋の中を歩いた。
そうして黙々と、一人で掃除を行なっていく中、乙葉はあることに気づいた。それは、この小屋の中に、扉を開ける鍵が、隠されているかもしれないということだった。
乙葉はそのことに気づいてから、部屋の中を、隈なく確認しながら、掃除をした。
それから、あっという間に日が昇ってしまった。乙葉は一睡もすることなく、必死で掃除と鍵探しを続けていた。
しかし、一晩かかって探しても、結局鍵は見つからなかった。
その代わり、小屋は見違えるほどきれいになり、快適な居住空間へと変貌を遂げた。
ムダな物はひとつもなく、実用的な物だけが、小屋に置かれている。
そしてなによりも、これまでほこりまみれで、灰色の絨毯がしかれているように見えた床、黒く汚れた壁、あちこちにクモの巣が張られていた天井は、全てピカピカに磨かれ、輝きを放っている。また、それだけではなく、今まで物に隠れて見えなかった暖炉が、物を動かしたことで出現し、いまでは素敵なインテリアとして、役目を担っていた。
やっとのことで、すべての掃除が終わった乙葉は、満足し、一人でその空間を見て、酔いしれていた。
「ううん……おはよう。乙葉」
掃除が終わってすぐに、起きたばかりで、まだ眠そうな目をこすっている、ルーカスが言った。
「あ、おはよう。ルーカス」
乙葉が言った。
「えっ⁉︎ なにこれ、ここどこ⁉︎」
寝る前に見た小屋の景色とまったくちがうことに、ルーカスはかなりおどろいているようだった。
「どこって、ここはルーカスの家よ」
笑いながら乙葉が言った。
「でも、前はこんなにきれいじゃなかったよ。なにがあったの? 乙葉が掃除したの?」
混乱しながらルーカスが言った。
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