ルーカスと呪われた遊園地（上）

３ メリーゴーランド

６

　おどろいた乙葉は、目を見開いた。
　そうだ、この小屋に一人で暮らしているルーカスにも、母親はいるんだ。でも、きっと近くにはいない。
　乙葉の中で、可哀想な気持ちと、やるせない気持ちの両方が、胸の底から、わき上がってくるようだった。
「ルーカス……」
　とりあえず乙葉は、ルーカスの頭を、軽くなでてやった。
　すると、ルーカスは寝ながら、静かに微笑み出した。
　どんな夢を見ているのだろう。どうせ見るなら、幸せな夢を見ていてほしい。
　乙葉はしばらく、ルーカスのそばで頭をなで、寝顔を見続けた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　♢♢♢