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1 迷い込んだ少女
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「ん?」
京一はいぶかしげに辺りを見まわした。
「どうかしたの? 京一くん」
レジでとなりに立っていた小太りの先輩・内田が、京一の様子を変に思ったのか、話しかけてきた。
「いや、いま誰か、俺の名前を呼びませんでした? 『京一』って」
「いやあ? 僕にはなにも聞こえなかったけどね」
おどろいたような顔をして、内田が言った。
「あれ、おかしいな……たしかに聞こえたはずなんですけど」
京一はあごに手をあてて、名前を呼ばれた時のことを思い出した。
「大丈夫? 疲れてない?」
内田は心配そうな顔をしながら、京一の背中にそっと手を置いて言った。
「もし疲れてるなら、はやめに上がっちゃっていいよ。店長には僕から言っておくから」
「いえ、ご心配は無用です」
京一はすらりと言い放った。
「俺は大丈夫ですから。内田さんに聞こえていないなら、きっとなにかの聞き間違いかもしれません」
「そう? ならいいけど……」
これで会話は終わるかと思いきや、内田は急にニヤついた顔をしながら、
「京一くーん。いつもはそんなこと全然ないのに、めずらしいね。もしかして、今朝、店にきてた女の子のことでも考えてたとか?」と、口に手を当てながら言った。
「は?」
全く予想外のことを言われ、京一は内田にあきれた顔をしながら言った。
「なに言ってるんですか、違いますよ」
「本当? あやしいなあ」
内田の言葉で、わずかに動揺させられた京一だったが、すぐに冷静さを取りもどした。
「あいつはただの幼なじみですから、内田さんが考えているような関係じゃありませんよ」
京一はいぶかしげに辺りを見まわした。
「どうかしたの? 京一くん」
レジでとなりに立っていた小太りの先輩・内田が、京一の様子を変に思ったのか、話しかけてきた。
「いや、いま誰か、俺の名前を呼びませんでした? 『京一』って」
「いやあ? 僕にはなにも聞こえなかったけどね」
おどろいたような顔をして、内田が言った。
「あれ、おかしいな……たしかに聞こえたはずなんですけど」
京一はあごに手をあてて、名前を呼ばれた時のことを思い出した。
「大丈夫? 疲れてない?」
内田は心配そうな顔をしながら、京一の背中にそっと手を置いて言った。
「もし疲れてるなら、はやめに上がっちゃっていいよ。店長には僕から言っておくから」
「いえ、ご心配は無用です」
京一はすらりと言い放った。
「俺は大丈夫ですから。内田さんに聞こえていないなら、きっとなにかの聞き間違いかもしれません」
「そう? ならいいけど……」
これで会話は終わるかと思いきや、内田は急にニヤついた顔をしながら、
「京一くーん。いつもはそんなこと全然ないのに、めずらしいね。もしかして、今朝、店にきてた女の子のことでも考えてたとか?」と、口に手を当てながら言った。
「は?」
全く予想外のことを言われ、京一は内田にあきれた顔をしながら言った。
「なに言ってるんですか、違いますよ」
「本当? あやしいなあ」
内田の言葉で、わずかに動揺させられた京一だったが、すぐに冷静さを取りもどした。
「あいつはただの幼なじみですから、内田さんが考えているような関係じゃありませんよ」
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