246 / 246
物語のおわり
8
しおりを挟む
すると、大切にしまっていたはずの、ルーカスからもらった手紙が、地面に落ちているのに気づいた。
そのルーカスの手紙は、ついてしまったしわを伸ばして、丈夫な封筒に入れ、いつも持ち歩くカバンの中に入れていたものだった。
乙葉は急いで手紙を拾い、封筒についてしまった土を、パンパンとしっかり叩いた。
それを見ていた京一は、乙葉の近くにまでかけ寄ると、
「お前それ、まだ持ってたのかよ」と、おどろきながら言った。
「悪い?」
京一をじろりと睨みながら、乙葉が言った。
「これは私の、たいっせつな、宝物なの!」
「あっそう」
あまり興味がなさそうに、京一が言った。
「まあ、別にいいけど」
「それにしても、なんでこれ、急にカバンから落ちちゃったのかしら。ちゃんと奥にしまっておいたはずなのに」
不思議に思いながら乙葉が言った。
「あいつのことだから、お前にかまってもらえなくて、拗ねているんじゃないのか?」
冗談っぽく京一が言った。
「まさか」
乙葉は笑いながら、すぐに否定した。
それから京一は空を見上げると、
「あいつ、いまも元気にしているといいな」と言った。
つづけて乙葉も空を見上げて、
「うん、そうね。きっと元気よ」と言って、空に向かって、優しく微笑んだ。
END
そのルーカスの手紙は、ついてしまったしわを伸ばして、丈夫な封筒に入れ、いつも持ち歩くカバンの中に入れていたものだった。
乙葉は急いで手紙を拾い、封筒についてしまった土を、パンパンとしっかり叩いた。
それを見ていた京一は、乙葉の近くにまでかけ寄ると、
「お前それ、まだ持ってたのかよ」と、おどろきながら言った。
「悪い?」
京一をじろりと睨みながら、乙葉が言った。
「これは私の、たいっせつな、宝物なの!」
「あっそう」
あまり興味がなさそうに、京一が言った。
「まあ、別にいいけど」
「それにしても、なんでこれ、急にカバンから落ちちゃったのかしら。ちゃんと奥にしまっておいたはずなのに」
不思議に思いながら乙葉が言った。
「あいつのことだから、お前にかまってもらえなくて、拗ねているんじゃないのか?」
冗談っぽく京一が言った。
「まさか」
乙葉は笑いながら、すぐに否定した。
それから京一は空を見上げると、
「あいつ、いまも元気にしているといいな」と言った。
つづけて乙葉も空を見上げて、
「うん、そうね。きっと元気よ」と言って、空に向かって、優しく微笑んだ。
END
0
お気に入りに追加
3
この作品の感想を投稿する
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる