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6 さよなら

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 乙葉はすぐに紙を広げてみた。
 そしたらそのクシャクシャの紙に、

『たのしいおもいでをたくさんありがとう。だいすきだよ、おとは   ルーカスより』

 と、すこし汚い文字で記してあった。
 それを見た乙葉はたまらずに、次から次へと涙を流した。
 涙が頬を伝って、乙葉のひざに水溜りを作ってしまうほどに、乙葉は号泣した。
 乙葉の涙は止まらずに、ついにはひっくひっくとしゃくり上げながら、
「ルーカスー」と言った。
「私も、私も楽しかった。ありがとう、ありがとうルーカス」
 乙葉が泣いていると、突然、体に優しい風が吹き抜けていった。それはまるで、もう泣かないで、と誰かが言っているような風だった。

                 ♢♢♢
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