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6 さよなら

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 しかし乙葉は、たちまち気まずそうな顔をして視線を落とすと、
「——ごめんなさい、久遠くん」と、はっきり断った。
「実は私、好きな人がいるの」
 この時、京一は体をピクリと動かした。そしてなぜか、少し動揺しているように見えた。
「そうですか……」
 久遠はがっかりしたように、唇を噛み締めた。
 しかし、すぐに明るい顔になって、
「わかりました。告白できただけでもよかったです。外に出ても、また僕と仲良くしてくださいね」と言った。
 乙葉は大事な友達だと思っていた久遠を振ってしまって、胸が痛くなりながらも、
「もちろん」と、快く返事をした。
「それと、京一くん」
 そう言うと、久遠は次に、京一に視線を移した。
「僕と友達になってくれて、ありがとうございました。僕、京一くんのおかげで、初めてまともに男友達と言える人ができました」
 それを言われた京一は、相変わらず仏頂面をしていたが、心なしか少し喜んでいるように見えた。
「また僕と一緒に、トレーニングしてくださいね」
 久遠が笑顔で言った。
「ああ。いつでも連絡待ってる」
 京一が言った。
 久遠は満足そうに頷くと、銀司や内田に続いて、光の先に向かって走っていった。
「じゃあ次、私!」
 手を挙げながら、元気よく柚子が言った。
「お姉ちゃん、私。もうすでにわかっていると思うけど、お姉ちゃんとはもうライバルじゃなくなったのよ」
「え? ライバルって、柚子、あんたまさか——」
 乙葉は目を見開きながら、柚子を見た。
「そう、そのまさか」
 いたずらっぽく柚子が言った。
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