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5 クラウスの剣

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 しばらく経つと、みんなハッとしたような顔をして、
「ああ!」と、いっせいに口に出した。
「内田さんだ!」
 京一が言った。
「そうです、そうです! 内田さんです! やっと思い出せました」
 慌てて久遠が言った。
「よかったあ、思い出して」
 乙葉が安心して言った。
「まずいぞ、誰かすぐに呼んでこいよ」
 銀司が人任せに言った。
「あいつ今頃、まだのんきに今日の夕飯のことでも考えながら、小屋にいるんじゃねえか?」
「おい、内田さんにたいして、失礼なことをいうな」
 京一が叱責しっせきした。
「ああ見えて内田さんはな、実はとんでもない資産家のご子息なんだぞ」
「えっ、あの内田さんが?」
 びっくり仰天しながら乙葉が言った。
「ありえねえ」
 信じられないとでもいうような顔で、銀司が言った。
「じゃあなんで、コンビニとかでアルバイトしてるの?」
 首をかしげながら柚子が言った。
「そんなにお金あるなら、別にしなくてもいいわよね」
「社会勉強のためだそうだ。俺はそんな内田さんに、これまで何度も助けられた」
 感慨深げに京一が言った。
 この時、乙葉は思った。だから京一は内田に甘かったのか、と。これで乙葉の謎が解け、すっきりした気分になった。
「まあその話は置いといて、小屋はここからそう遠くはない。だから俺が、いますぐ内田さんを、小屋から連れ出してくる」
 勇敢に京一が言った。
 本来なら乙葉は、あんな危険な場所に、助けにいこうとする仲間を止めるはずだが、京一が助けにいくなら安心だという理由で、あえて止めないでおいた。
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