ルーカスと呪われた遊園地（下）

５ クラウスの剣

４７

「なんだって⁉︎」
　驚愕きょうがくした京一が言った。
「それなら、はやく逃げないといけませんね」
　焦った様子で久遠が言った。
「それにしても、銀司と柚子の姿が見えないけど、どこにいったの？」
　キョロキョロとまわりを見回しながら、乙葉が言った。
「ああ、あいつらは……」
　京一がなにかを言いかけると、
「おーい、お前らあ！　無事か！」と、銀司の声が、遠くから聞こえてきた。
　後ろを振り返ってみると、銀司と柚子の二人が、城の外から、こちらに向かって走ってくるのが見えた。
「銀司、柚子！」
　乙葉が言った。
　しばらくして、二人はみんなの元へ走り寄ってきた。
「二人とも、一体いままで、どこでなにをしていたの？」
　けげんそうに乙葉が尋ねた。
「そうだよ。銀司はこの二人と一緒に、いままでずっと戦ってたんじゃなかったの？」
　ルーカスがつづけて尋ねた。
「いや、途中までは戦ってたんだけどよ。嬢ちゃんが一人で心細そうだったんで、一緒にいてやってたんだ。あの凶暴なくまたちなら、兄ちゃんたちだけで、なんとかなるだろうと思って」
　銀司が照れたように、頭を掻かきながら言った。
　後ろにいる柚子も、なにも言わずに、照れたような顔をして立っている。
「なんかあやしいな」
　目を細めながら、なにかを怒っているような感じで、京一が言った。
「おい、銀司。柚子になにか、変なことでもしてないだろうな？」
「はっ？」
　銀司はまさか思ってもみないことを言われたのか、目を見開いてそう言った。
「いや、別に、そんな兄ちゃんたちが思うようないかがわしいことなんて、なにもしてねえよ。ただ本当に、一緒にいてやっただけだ」