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5 クラウスの剣
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「乙葉!」
上から見ていたルーカスが叫んだ。
乙葉は液体の中にいるため、息ができなくなって声も出せずに、上にいるルーカスに手を伸ばして、助けを求めた。
「待ってて! いま助けにいくから!」
ルーカスが叫んだ。
そしてルーカスは素早く乙葉の元に向かい、液体の中から、乙葉を引っ張り上げた。
液体から引き出された乙葉は、激しく咳をしながら、屋根の上に座り込んだ。
ルーカスは乙葉を見て、興奮した様子になると、
「すごいね、乙葉!」と言った。
「本当にあいつをやっつけちゃうなんてさ」
緑の液体まみれになった乙葉は、あいかわらず咳をしながらも、体についたネバネバを落とすのに、必死になっていた。
「うええ、なにそのヘドロ。体中ベトベトだね」
顔をしかめながらルーカスが言った。
乙葉はそこで手を止めると、
「ねえ、ルーカス。私、ボスを倒すことができたのよね?」と、本当かどうか信じられずに、たしかめた。
「いまさらなに言ってるの? そうだよ! 乙葉はあいつをやっつけたんだよ!」
はっきりとルーカスが言った。
「なんか、あまり実感が湧かなくて……」
うつろになって乙葉が言った。
「でも、そっか、私……本当に倒しちゃったのよね」
乙葉はいまだ、信じられないような気持ちでいた。
「うん! これで乙葉たちは、ようやく外の世界に戻れるんだよ」
ルーカスは、祝福せんばかりの、はじけた声で言った。
「だからもっと、素直によろこんだらいいのに」
「そっか、そうよね」
乙葉はルーカスにそう言われて、やっと自覚した。
「これでいよいよ、外の世界にいる、みんなのもとに帰れるのね。よかったあ」
上から見ていたルーカスが叫んだ。
乙葉は液体の中にいるため、息ができなくなって声も出せずに、上にいるルーカスに手を伸ばして、助けを求めた。
「待ってて! いま助けにいくから!」
ルーカスが叫んだ。
そしてルーカスは素早く乙葉の元に向かい、液体の中から、乙葉を引っ張り上げた。
液体から引き出された乙葉は、激しく咳をしながら、屋根の上に座り込んだ。
ルーカスは乙葉を見て、興奮した様子になると、
「すごいね、乙葉!」と言った。
「本当にあいつをやっつけちゃうなんてさ」
緑の液体まみれになった乙葉は、あいかわらず咳をしながらも、体についたネバネバを落とすのに、必死になっていた。
「うええ、なにそのヘドロ。体中ベトベトだね」
顔をしかめながらルーカスが言った。
乙葉はそこで手を止めると、
「ねえ、ルーカス。私、ボスを倒すことができたのよね?」と、本当かどうか信じられずに、たしかめた。
「いまさらなに言ってるの? そうだよ! 乙葉はあいつをやっつけたんだよ!」
はっきりとルーカスが言った。
「なんか、あまり実感が湧かなくて……」
うつろになって乙葉が言った。
「でも、そっか、私……本当に倒しちゃったのよね」
乙葉はいまだ、信じられないような気持ちでいた。
「うん! これで乙葉たちは、ようやく外の世界に戻れるんだよ」
ルーカスは、祝福せんばかりの、はじけた声で言った。
「だからもっと、素直によろこんだらいいのに」
「そっか、そうよね」
乙葉はルーカスにそう言われて、やっと自覚した。
「これでいよいよ、外の世界にいる、みんなのもとに帰れるのね。よかったあ」
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