ルーカスと呪われた遊園地（下）

５ クラウスの剣

４３

「でも私、絶対に死なないわ。死なずにちゃんと、ボスをやつけてくるわよ。だから私を信じてほしい」
　真剣な目で乙葉が言った。
　するとルーカスは、一瞬のうちに考えが変わったのか、
「わかった。僕、乙葉のこと信じるよ」と、乙葉の目をしっかり見ながら、ルーカスが言った。
「ありがとう」
　乙葉が言った。
「じゃあ僕、手を離すよ」
　ルーカスが確認するように言った。
「うん、お願い」
　乙葉が答えると、ルーカスは乙葉からパッと手を離した。
　その瞬間、乙葉は剣を下に突き立てながら、下に急降下していった。

「き、貴様なにをするつもりだ！」

　どこかで乙葉のことを見ているのか、ボスがそう言うのが聞こえた。

「やめろ！　やめろおおおお！」

　まもなくして、叫んでいるボスのところまでやってくると、
「やああああ！」と、乙葉が声を上げて、ガラスを剣で突き破った。
　そのあとすぐに、緑色の奇妙な物体に向かって、剣を深く刺した。
　すると、ピエロの一メートルくらいあるとても大きな顔が、緑色の物体から、亡霊のように浮かび上がってきた。
　乙葉はその大きな顔を見た途端、びっくりしすぎて、体が石のように固まってしまった。

「ぎゃあああああああ！」

　ピエロは悲鳴を上げながら、乙葉の体をすり抜けてどこかに消えていった。
　瞬間、緑色の物体から、どろどろとした液体が勢いよく大量に出てきて、乙葉を包み込んだ。