ルーカスと呪われた遊園地（下）

５ クラウスの剣

３３

　ルーカスが言った。
「え？　それ、本当？」
　目を丸くして乙葉が言った。
「それじゃ、この園内のどこかに、ボスの写真があるかもしれないってことよね」
「必ずしも写真とは限らないんじゃない？」
　突然、意味深なことをルーカスが言った。
「それ、どう言うこと？」
　乙葉が言った。
「——まあいいわ。とにかく、探してみることにする」
　それから乙葉とルーカスの二人は、ふたたび、豪華なシャンデリアのある最初の部屋に戻ってきた。
「まずどこよりも写真がありそうなのは、この部屋よね」
　棚の引き出しを開けて中を探りながら、乙葉が言った。
　ルーカスはその間、乙葉の頭上を飛びながら、黙ってその様子を見ていた。
「ないなあ」
　手を止めずに乙葉が言った。
　そして、となりに置いてある棚の中を探しはじめたちょうどその時、何枚かの写真がノートの下に隠れているのを、偶然、乙葉が発見した。
「あ！　写真！」
　乙葉はそう言って、ノートの下から写真を取り出した。
　そして写真を手にして見ると、そこに写っていたのは、優しそうに微笑んでいる外国人の女の人だった。
　その女の人の髪の毛はふわふわした金髪で、目の色は青く、透き通るような白い肌をしていた。
「きれいな女の人……」
　乙葉はうっとりしながら、その写真の女の人を見た。
「誰だろう、これ」
「それ、僕のママだよ」
　上から覗き込んでいたルーカスが、ふいに言った。
「えっ、この人、ルーカスのママ⁉︎」