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5 クラウスの剣

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 姿の見えない誰かが言った。

「しかし、本当に出ることができるのは、この私を倒してからだ」

「なんだって?」
 眉をしかめて京一が言った。
「隠れてないで、姿を現しやがれ!」
 銀司が叫んだ。
 久遠はあたりを見渡すと、
「一体、どこにいるんだ」と言った。
 そして短くも、スピーカーから流れるその声は、もう一切聞こえなくなった。
 そんな時、突然、
「ボスはね、城の中にいるよ」と、ルーカスが言った。
「ボス? じゃあさっきの声の人が、例のバーサークが言っていた、ボスって人なのね」
 柚子が納得した様子で言った。
「ん? それにしても、なにかおかしいわよ。ルーカス、あなたどうして、ボスのことを知ってるの? ひょっとして、本当はあなたも、バーサークたちの仲間だったの?」
 眉をしかめて、疑わしげに柚子が聞いた。
 するとルーカスは、
「さあ、どうだろうね」と、しれっとしながら言った。
「どうだろうねって、誤魔化まごかさないで教えなさいよ」
 柚子は機嫌を悪くしながら、ルーカスに追及した。
 その様子をとなりで見ていた乙葉は、
「え? ルーカスは、私たちの味方じゃなかったの?」と、衝撃を受けながら呟いていた。
 これまでルーカスのことをずっと味方だと信じていたために、乙葉はなんだか、裏切られたような気持ちになった。
 ルーカスはそんな乙葉の悲しそうな顔をちらりと見ると、
「仕方ないから、すこしだけ教えてあげる」と言った。
「僕はあちら側とこちら側の、中間にいる人間なんだよ。つまり、どちらの味方でもないって言うのが正解かな」
 なんでもないようにルーカスがそう言った。
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