ルーカスと呪われた遊園地（下）

４ 死闘

３９

「久遠、本当にやれるのか？」
　京一が確認するように言った。
「はい、やれます」
　はっきりと久遠が言った。
　京一はその返事を聞いてふっと笑うと、
「わかった。じゃあ頼んだ」と言って、ゆっくりと立ち上がった。
　そして久遠に向けて、拳を突き出した。
「好きなだけ暴れてくれ、相棒」
　久遠はよろこんで頷くと、京一と拳を合わせた。
「お前ら、こんなところで、なに青春ごっこしてんだ！　ここは学校じゃないんだぞ」
　バーサークが叫んだ。
　それから京一と久遠は、お互いに離れた。
　そして京一は、バーサークに向かって刀の先を向けると、
「今度はお前がやられる番だ。バーサーク」と言った。
「うるさい、うるさい！　お前ら全員、皆殺しだ！」
　ジタバタと暴れながらバーサークがわめくと、どデカい図体を揺らしながら、久遠に向かって走っていった。
　そんな状態にもかかわらず、京一は刀を下ろすと、
「皆殺し、か……果たしてそれはどうかな」と、不敵に笑った。
「なに？」
　バーサークは一瞬、京一の自信満々な態度に怯ひるみ、うろたえたような声を出して、動きを止めた。
　その時、銀司はバーサークの部屋の壁から、一本の刀をとり、
「メガネの兄ちゃん！　戦うならこれを使え！」と言って、久遠に投げて渡した。
　久遠はその刀を受け取ると、
「ありがとうございます！　銀司さん」と、礼を言った。
「おい、それは俺様の刀だぞ！　よくも——」
　バーサークは途中までなにかを言いかけていたが、なぜか続きをいうことを、やめたようだった。
「くそ、まあいい。勝手に人の武器を使うなと、本来なら言いたいところだが、すこしはお前たちにもハンデをやろう。じゃないと、俺の方が強すぎて、到底相手にもならないだろうからな」