ルーカスと呪われた遊園地（下）

４ 死闘

３８

「なんだ？」
　バーサークはいぶかしそうに、階段を見た。
　やられた京一も、片目を開けながら、何事かと階段を見やった。
「その戦い、ちょっと待ったー！」
　その大きな柚子の声と同時に、檻の中に閉じ込められていたほかの二人と、助けにいった乙葉とルーカスの五人が、一斉いっせいに、部屋の中に入ってきた。
「お、お前たちは！」
　驚きと動揺が混じった声で、バーサークが言った。
「やっときたか」
　京一が痺れを切らしたように言った。
「くそー！　ムムめ、一体あいつは、なにをやっていたんだ。あとでたっぷりお仕置きしてやる」
　怒りをむき出しにして、バーサークが言った。
　バーサークがすこしばかり油断しているその隙に、久遠は京一に近づき、
「京一くん！　僕も一緒に戦います！」と言った。
「久遠が？」
　目を見開きながら京一が言った。
「はい！」
　元気よく久遠が返事をした。
　それを聞いたバーサークはすかさず、
「そんな傷だらけでか？」と、バカにして言った。
「嘘も休み休み言え。こいつを殺る前に、まずはお前を先に殺ってやる」
「なんですって」
　乙葉が言った。
「まあ大変よ、このままじゃ、あの二人の命が危険だわ」
「いや、あいつらならきっと大丈夫だ。俺たちはここで、大人しく見守りながら、あいつらを信じていようぜ」
　銀司が願うようにそう言った。
　四人がことの成り行きを心配して見守る中、京一と久遠の二人は、落ち着いた様子で、なにかを話しているようだった。