上 下
131 / 246
4 死闘

12

しおりを挟む
 乙葉、ルーカス、内田の三人が、小屋の中でなにやら騒々しくしていると、突然、扉が開き、これまで外に出ていたはずの京一が戻ってきた。
「あ、京一! やっと帰ってきた!」
 ちょうどテーブルの上辺りを浮いているルーカスが、笑顔で言った。
「もうおそいわよー、なにやってたの? こんなバーサークがうろついている時間まで外に出るなんて、危険にもほどがあるわ」
 待ちくたびれた乙葉が言った。
「そうそう、もしかしたら京一くん、バーサークにやられたんじゃないかって、みんなですごく心配していたんだから」
 内田が言った。
「すみません、内田さん。それに二人も、心配かけてすまん」
 即座に京一が謝った。
「実はちょっと調べたいことがあって、園内を調べていたんだ」
「調べたいことって?」
 乙葉が首をかしげた。
「まあ、それはあとでいう」
 京一はそう言うと、乙葉からテーブルの上に視線を移した。
 すると京一は、思わず顔をしかめたように見えた。
 なぜならいま、小屋のテーブルの上には、鍋やガスコンロ、菜箸やトレー、材料が入ったボールなどが、ぐちゃぐちゃに置かれてあったからだ。
 しかもそれだけではなく、中央にはいろいろな雑草が並べておいてあり、まるでなにかの実験をしているような、とても奇妙な光景が広がっていた。
 京一はそのひどく散らかっている有り様をしばらく見たあと、
「これは一体、なにをしているんだ?」と、けげんそうに尋ねた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

霊能者、はじめます!

島崎 紗都子
児童書・童話
小学六年生の神埜菜月(こうのなつき)は、ひょんなことから同じクラスで学校一のイケメン鴻巣翔流(こうのすかける)が、霊が視えて祓えて成仏させることができる霊能者だと知る。 最初は冷たい性格の翔流を嫌う菜月であったが、少しずつ翔流の優しさを知り次第に親しくなっていく。だが、翔流と親しくなった途端、菜月の周りで不可思議なことが起こるように。さらに翔流の能力の影響を受け菜月も視える体質に…!

オイラはブラックサンタクロース〜聖夜の黒い悪戯坊や〜

はなまる
児童書・童話
 ブラックサンタクロースは、ドイツの伝承です。  クリスマスに悪い子のところに来る、黒いサンタクロースです。これがなかなか面白いのですよ。  背負った袋から、豚の内臓をぶち撒ける。悪い子を袋に入れて棒で叩く。挙句の果てには袋に入れて、連れ去ってしまう。  クリスマスに豚の内臓をぶち撒けられるなんて、考えただけで辛くなりますよね。  このお話しに出てくる『黒サンタくん』は、真っ黒い服を着た悪戯坊や。イブの夜サンタクロースのソリにぶら下がって、行く先々で、小さな悪戯を振りまいて歩きます。  悪い子ではなさそうなのに、なぜそんな事をしているのでしょう? それにちょっぴり寂しそう。  クリスマスにぴったりの短編小説です。  

アイの間

min
児童書・童話
中学2年生の雪。 思春期の彼には、色々と考えることがあるみたいで…。

こおにの手紙

箕面四季
児童書・童話
ひげもじゃかみさまへ おげんきですか? いま、みえちゃんという  とっても かわいい おんなのこが おまいりに きています。 みえちゃんは おんなのあかちゃんが ほしいのです。 だから、はやく かえってきて、おねがいごとを かなえてください。                                こおに

【完結】だからウサギは恋をした

東 里胡
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞応募作品】鈴城学園中等部生徒会書記となった一年生の卯依(うい)は、元気印のツインテールが特徴の通称「うさぎちゃん」 入学式の日、生徒会長・相原 愁(あいはら しゅう)に恋をしてから毎日のように「好きです」とアタックしている彼女は「会長大好きうさぎちゃん」として全校生徒に認識されていた。 困惑し塩対応をする会長だったが、うさぎの悲しい過去を知る。 自分の過去と向き合うことになったうさぎを会長が後押ししてくれるが、こんがらがった恋模様が二人を遠ざけて――。 ※これは純度100パーセントなラブコメであり、決してふざけてはおりません!(多分)

王さまとなぞの手紙

村崎けい子
児童書・童話
 ある国の王さまのもとに、なぞの手紙が とどきました。  そこに書かれていた もんだいを かいけつしようと、王さまは、三人の大臣(だいじん)たちに それぞれ うえ木ばちをわたすことにしました。 「にじ色の花をさかせてほしい」と―― *本作は、ミステリー風の童話です。本文及び上記紹介文中の漢字は、主に小学二年生までに学習するもののみを使用しています(それ以外は初出の際に振り仮名付)。子どもに読みやすく、大人にも読み辛くならないよう、心がけたものです。

人形サクラッチに変身した少女サクラのお話

燦一郎
児童書・童話
サクラはアヤちゃんとケンカして学校に行けなくなった。一日中部屋でじっとしている。 「いっそジェニファーのような人形になってしまいたい」 するとジェニファーが声を出した。 「人形の精、マリークリスティーン様ならあなたを人形に変えられるのよ」 サクラは人形に変身し、デパートのショーケースに並べられた。 でも大変なことになった。あのアヤちゃんがやってきて、誕生日のプレゼントにと人形サクラを買ってもらったのだ。 「この人形、サクラちゃんにそっくり」 万事休す。 「まさかアヤちゃんに買われるなんて」 アヤちゃんはその人形に「サクラッチ」と名付けた。 人形は人の心を読む力があり、サクラッチは今まで見えなかったアヤちゃんの気持ちを知った。 それは意外なものだった。 「人間に戻りたい……」 さてサクラッチはどうなるのか。

処理中です...