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4 死闘
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ムムが答えた。
「なんでそんな、汚い布なんてかぶってんだ?」
銀司が言った。
その質問はあまりに突飛だったために、ムムは戸惑いつつも、
「それは、その——いろいろと事情があるんです!」と、もじもじしながら、なんだかいいづらそうに、ムムが言った。
「ちょっと銀司! ムムにそんな、デリカシーのないこと聞かないでよ!」
柚子が憤怒した。
「汚いなんて、あまりにも失礼すぎるわ。どうせいうなら、汚れた布って言いなさいよ」
「いや、汚いも汚れたも、おなじことだろ」
顔をしかめながら銀司が言った。
「いいえ、全然ちがうわよ。これはニュアンスの問題なのよ」
銀司を見ながら柚子がそう言うと、次にムムを見て、
「ねえ、ムム? それと、ムムが布を被っている理由は、恥ずかしがり屋さんだからなのよね? だからその布を被ってるのよね」と、そうにちがいないという気持ちで、矢継ぎ早に言った。
「えっと、はい。まあ、そんなところです」
微妙な顔をしてムムが言った。
そんなムムを見た銀司が、
「おい、なんか理由がちがうみてえだぞ」と言った。
「別にいいのよ、なんでも」
開き直って柚子が言った。
「いや、なんでだよ!」
すかさず銀司が言った。
そのあと、銀司は気を取り直すように咳払いをすると、
「まあ、それより、ムム。さっきは果物とか、いろいろ持ってきてくれてありがとな」と言った。
「いえ、柚子様のためですから。お気遣いなく」
清々しくムムが言った。
「それに、あのこともありますし」
「なんでそんな、汚い布なんてかぶってんだ?」
銀司が言った。
その質問はあまりに突飛だったために、ムムは戸惑いつつも、
「それは、その——いろいろと事情があるんです!」と、もじもじしながら、なんだかいいづらそうに、ムムが言った。
「ちょっと銀司! ムムにそんな、デリカシーのないこと聞かないでよ!」
柚子が憤怒した。
「汚いなんて、あまりにも失礼すぎるわ。どうせいうなら、汚れた布って言いなさいよ」
「いや、汚いも汚れたも、おなじことだろ」
顔をしかめながら銀司が言った。
「いいえ、全然ちがうわよ。これはニュアンスの問題なのよ」
銀司を見ながら柚子がそう言うと、次にムムを見て、
「ねえ、ムム? それと、ムムが布を被っている理由は、恥ずかしがり屋さんだからなのよね? だからその布を被ってるのよね」と、そうにちがいないという気持ちで、矢継ぎ早に言った。
「えっと、はい。まあ、そんなところです」
微妙な顔をしてムムが言った。
そんなムムを見た銀司が、
「おい、なんか理由がちがうみてえだぞ」と言った。
「別にいいのよ、なんでも」
開き直って柚子が言った。
「いや、なんでだよ!」
すかさず銀司が言った。
そのあと、銀司は気を取り直すように咳払いをすると、
「まあ、それより、ムム。さっきは果物とか、いろいろ持ってきてくれてありがとな」と言った。
「いえ、柚子様のためですから。お気遣いなく」
清々しくムムが言った。
「それに、あのこともありますし」
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