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3 かくれんぼ

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 銀司が腹に手を当てて、仰向けに倒れながら言った。
「見えないわよ」
 柚子が言った。
「ねえ、こんなに血だらけになったのって、やっぱり、バーサークにやられたせいなんでしょ?」
 不穏な表情をしながら、柚子が尋ねた。
 しかし銀司は、返事をしなかった。
 その代わり、ねたように、柚子に背中を向け出した。
「ちょっと、なんでなにも答えないのよ」
 柚子がそう言っても、銀司は相変わらず、なにも言わなかった。
「まったく。でも、二人が生きていただけよかったわ」
 呆れたように柚子が言った。
 そのあと、柚子はあらためて、久遠と銀司の痛々しい姿を見た。
 二人とも全身あざだらけで、血まみれだ。その姿は思わず、目をおおってしまいたくなるほど、ひどいものだった。
「うう……痛そう」
 柚子が苦い顔をして言った。
「はやく二人の傷の手当てをしないと——でも、ここには救急箱なんてないし、どうしたらいいのかしら」
 柚子はなにかいい考えが思いつかないものかと、知恵をしぼって考えた。
「あっ、そうだ! そうよ。あの手があるじゃない」
 突然、ひらめいた柚子が言った。
「ねえムム、いるんでしょ? お願い、出てきて」
 あのあと、すぐに姿を消してしまったムムを呼ぶために、檻の奥の暗闇に向かって、柚子が言った。
「はい、なんでしょう。柚子様」
 暗闇からそっと出てきて、かしこまりながらムムが言った。
「いまから急いで、この二人の手当てをしたいの。だから、救急箱かなにか持ってきてくれる? それと、水と食料も」
 柚子がお願いした。
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