ルーカスと呪われた遊園地（下）

３ かくれんぼ

２６

　そんな張り詰めた空気をやぶるように、京一はバーサークに向かって走り出すと、
「はあああっ！」と言って、勢いよく刀を振り上げた。
　そしてバーサークに向かって振り落とすと、バーサークはとっさに、鉄パイプで刀を制した。
　それから二人の激しい死闘が行われた。両者とも互角で、刀と鉄パイプがこすれ合う、耳に響くような鋭い音が、何度も鳴った。
「京一くん！　そんなやつ手加減なんてしないで、こてんぱんにやっつけちゃって！」
　柚子が応援した。
「そうだそうだ！」
　ルーカスが、柚子に同調するように言った。
　しばらく戦ったあと、一度二人は息を整えるように、互いに離れた。
「お前、なかなかやるな」
　めったに褒めないバーサークが言った。
「それがどうした。ひょっとして、俺の強さに怖気づいたのか？」
　挑戦的に京一が言った。
「この俺様が？　ハッ、笑わせてくれる。お前ごときに怖気づくわけがないだろう」
　バーサークは、京一を軽んじるように言った。
「これからお前に、目にもの見せてやる」
　そう言うと、バーサークは鉄パイプを頭上に持ち上げ、ぐるぐると回転させた。そのまま京一に向かって走り寄り、回転させた鉄パイプを京一に向かって当てはじめた。
　京一は何度も鉄パイプに刀を当て、抵抗した。見ていると、京一の方がバーサークに圧倒されているように思えた。
「ハハハ！　どうだ、参ったか！」
　攻撃をつづけながら、バーサークが言った。
「はっ、誰が！」
　そうは言いつつも、京一は徐々に、後ろに下がっていた。
　このままでは京一が負けてしまう。そうなったら、これから全員、バーサークにどんな目に遭あわされるか、考えるだけでも恐ろしくてたまらない。
（どうか、どうか勝って！）
　乙葉は胸に手を当てながら、心の中で強く願った。