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3 かくれんぼ

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 久遠と銀司がおそろしい目にっている間、変わらずシャッターの前にいた乙葉、京一、ルーカスの三人は、階段の一番上の段に座って、なにもできずに途方に暮れていた。
 乙葉は時折、じっとしていられずに、立ち上がっては階段を上り下りして、どうにか気をまぎらわしていたし、京一は一人、一歩も動かずに座りつづけたまま、考えにふけっていた。おまけにルーカスは、足をぶらぶらさせて、退屈そうに手遊びをしている。
 こんな風に、とくになにも進展がないまま、ただ時間だけが過ぎていった。
 しかし、そんな時だった。
「あ、見て! シャッターが開きはじめたわよ!」
 乙葉が動いているシャッターを見て、指をさしながら言った。
「本当だ!」
 ルーカスがおどろいて言った。
「おい待て——バーサークだ! バーサークがくるぞ!」
 シャッターの向こうでバーサークの姿を見た京一が、とっさに言った。
「久遠くんたちは? 久遠くんたちはどこ?」
 乙葉は不安になりながら、必死で二人の姿を探した。
「あいつに捕まったりしてないわよね?」
「ルーカス、頼む。一度様子を見るために、俺と乙葉を天井まで浮かせてくれ」
 焦る乙葉の隣で、落ち着きながら京一が言った。
「うん、いいよ」
 素直にそう言うと、ルーカスは京一と乙葉の二人と手を繋いで、天井まで浮いていった。
「ねえ、久遠くんたちは?」
 いまだに不安の消えない乙葉が、二人に尋ねた。
「しー! 静かに。バーサークが来たよ」
 口元に人さし指を当てて、ルーカスが言った。
 それから三人は、天井からバーサークがやってくる様子を、静かにながめた。
 やがてバーサークは、両腕に血だらけになってぐったりとしている久遠と銀司をつかみながら、ドシドシとやってきた。
 乙葉はすっかり無残な姿になってしまった二人を見て、思わず悲鳴を上げそうになり、とっさに、自分の口を両手でふさいだ。
 バーサークは、ルーカスたちが頭上に浮いていることにまったく気づかない様子で、そのまま通りすぎ、階段を下りていった。
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