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3 かくれんぼ

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「なんだ、女のためか」
 眉を上げておどろきながら、銀司が言った。
「兄ちゃん、やるなあ! まさか命がけで、あの姉ちゃんのことを助けにくるなんてよお! 兄ちゃんのこと、すこし見直したぜ」
 そう言うと、銀司は大笑いしながら、久遠の背中をバシバシと音を立てながら叩いた。
「あはは……」
 久遠はうつむきながら、なにも言わずに笑うだけだった。
 ひと通り笑って、笑い疲れた銀司は、ふいに、
「はあ、なんか兄ちゃんの話聞いたら、財宝目当てでここに来た俺が、急にバカみたいに思えてきたぜ」と、上を見上げながらそう言った。
「だからもしこの先、奇跡が起きて、ここから出ることができたら——そしたら俺は、一度足を洗って、人生のやり直しでもしようかと思う」
 いつにもなく真剣な表情で、そのように話す銀司の言葉を聞いて、強く胸を打たれた久遠は、
「銀司さん……」と、感慨深かんがいぶかげにそう言った。
「銀司さんなら、この遊園地から出ても、きっといくらでもやり直せますよ。だって銀司さん、いつも悪い人みたいな振りしてますけど、本当はちがうじゃないですか。僕は知っていますよ。なぜかって、乙葉さんたちを助けるためにすごく一生懸命になったり、なんだかんだ、年もタイプもちがう僕たちと、仲良く協力してくれているんですから」
 銀司はおどろいて目を見開くと、
「おいおい兄ちゃん……なに照れくさいこと言ってやがんだ。やめろよ、ったく」と、久遠から目をそらして、頬を赤く染めた。
「本当のことですから」
 久遠は照れもせずに、笑顔で言った。
「よし、それじゃあ一丁、絶対に見つからないような場所でも見つけて、二人一緒に、なんとかあいつから逃げきってみせるか」
 そう言うと、銀司は気合いを入れて立ち上がった。
「僕、それならさっき、ちょうどいい場所を見つけたんですよ。どうやらあの場所以外に適切な場所は、ほかにないようですし、隠れるなら僕が見つけたあの場所で、二人で隠れてみませんか?」
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