ルーカスと呪われた遊園地（下）

２ 不思議なお城

３３

「ああ、悪い」
　悪いというわりには、あまり悪びれているようには見えない京一が、軽く謝った。
「それじゃ乙葉、いくぞ」
　すると京一は、城の裏口を開けて、乙葉よりも先に、さっさと中へと入っていった。
「うん、わかった」
　そう答えると、乙葉は地面に座っているムムを見た。
「じゃあ、またどこかで会えるといいわね。ムムちゃん」
「ムムちゃんって……」
　戸惑ったようにそう言ったあと、ムムは突然、両手を上げてわかりやすく怒り出した。
「僕は男だ！　女じゃない」
「あはは。わかった、じゃあまたね。ムム」
　ムムがおこった様子がまったくこわく思えず、むしろ可愛いと思った乙葉が、笑って言った。
「まったく、次会ったら覚えていろよ」
　強がっているのか、ムムが立ち去る乙葉たちに向かって、捨て台詞を吐いた。
　そして乙葉たちは、城の二階にいくために厨房を通って、先へ先へとすすんでいった。