ルーカスと呪われた遊園地（下）

１ 小さなリス

４４

　冷たくなにもない檻の中に、グウーッと、腹の音がながく響き渡った。柚子は腹を押さえて、しかめ面をした。今日の朝から、ろくなものを食べていないというのに、それにくわえて夕ご飯なしだなんて、とても耐えられない。柚子は空腹な腹を誤魔化ごまかすように、石の床で体育座りをしながら、静かに目をつむって瞑想をすることにした。
　しかし数分経つと、すぐに目を開けて、
「だあ、ダメだ。やっぱりお腹が空いているのが気になって、瞑想に集中できない」と、姿勢を崩して言った。
「はやくこんなとこ出たい……」
「おやおや、ずいぶんと苦しんでいるようだな、お前」
　いつの間にやら檻の前にやってきていたバーサークが、柚子に向かって、楽しんでいるようにそう言った。