ルーカスと呪われた遊園地（下）

１ 小さなリス

３９

　乙葉のいうことを聞いた京一は、
「はあ……まあ、それもそうだな」と、仕方なさそうに言った。
　どうやら、いつもの冷静な京一に、もどったようだった。
「だから、そろそろ会議は終わりにして、明日にそなえてはやく休みましょうよ」
　この場をおさめようとして、乙葉が提案した。
「ああ」
　京一が返事した。
「しかし、長い間会議したわりには、俺以外のやつがほとんど発言していない上に、関係ないことを横でぺちゃくちゃしゃべりまくるはで、話し合いしたと言えるかどうかも疑問なくらいだ。もはやこの作戦は、ほぼ俺が一人で考えた作戦と言ってもおかしくない」
「でも久遠くんだって、いろいろ意見してくれてたじゃない」
　乙葉がフォローした。
「最初だけな」
　立ちながら、頬杖をついて京一が言った。
「あとは俺が話していたことを記録してばかりだっただろ」
「あら、そうだったかしら？」
　首をかしげて、とぼけながら乙葉が言った。
「まあなんにせよ、作戦を考えられたんだから、よかったじゃない」
「まったく、やれやれだ」
　京一は首を左右に振って言った。
「よしみんな、今日はもう解散していいぞ」
「わーい！　やっと解散だ」
　相変わらず飛びまわりながら、ルーカスが無邪気に言った。
「ルーカスさん、そんなことよりも、はやく僕のノートを返してくださいよ」
　久遠が息を切らしながら、ルーカスに向かって言った。
「んー、終わったからもういいよ」
　一瞬悩んだ様子のルーカスだったが、そのあとは素直に、
「はい」と言って、久遠にノートを返した。