ルーカスと呪われた遊園地（下）

１ 小さなリス

３１

　内田が言った。
「それが本当なら、大変な事態ですね」
　深刻な顔で久遠が言った。
　乙葉はこの時、柚子が無事かどうかで頭がいっぱいで、みんなの話をろくに聞こうともしていなかった。
「もしかして、その犯人、バーサークだったりしますかね？　だって、黒いマントを着てるってところ、まるっきりおなじじゃないですか」
　たしかめるように久遠が言った。
「いや、それはちがうだろう。なんといっても、バーサークは夜にしか行動しないはずだ。いままでだって、昼間にバーサークが歩いているところは、一度だって見たことがない。だから、柚子を連れ去った犯人はバーサークじゃない」
　京一がはっきりとそう言った。
「じゃあ一体誰が……」
　久遠が言った。
「もしかして、それさっき作戦会議で話してた、バーサーク以外のまだ姿をあらわしていない、城に潜ひそんでいるやつのことじゃねえのか？」
　ひらめいたように銀司が言った。
「それ、ありえる！」
　内田がすばやく同意した。
「ルーカス、どう思う？」
　京一が尋ねた。
「うん、多分そうだと思う」
　ルーカスが答えた。
「だってバーサークは、京一もいってたけど、夜にしか外に出ないからね」
「それじゃあ、そいつでまちがいないじゃねえか！」
　興奮したように銀司が言った。
「一刻もはやく城にいって、あの嬢ちゃんを助けにいってやろうぜ！」
「でも、みんなまだ作戦会議の途中なのに、大丈夫なの？」
　心配そうに内田が言った。
「そんなの関係ねえよ！」