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6 乙葉大ピンチ

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「えへへ、助けにきたよ。乙葉」
 ルーカスは、すこし照れ笑いをして言った。
「もう、おそいわよルーカス」
 そう文句を言いながらも、乙葉はあまりの嬉しさに、とびきり笑顔になった。
「きてくれないかと思ったし」
「ごめんね。こう言っちゃなんだけど、ギリギリまで、本当にいくつもりなかったんだ。でも、途中で突然気が変わってさ」
 めずらしくシリアスな顔をしながら、ルーカスが話した。
「なんでかっていうとね、柚子が僕に助けを呼びにきたあと、よく考えてみたんだ。もし、この世界から乙葉がいなくなったら、僕はどうなっちゃうだろうって。それで出た答えは、乙葉がいない世界なんて、きっとものすごくつまらないだろうなって思った。だから助けにいったんだ」
 その言葉を聞いて感動した乙葉は、胸がきゅうっと締めつけられ、
「まあ、ルーカス……」と一言。
「正直こんなこと思ったのなんて、乙葉が初めてだよ」
 鼻の下を人さし指でこすりながら、ルーカスが言った。
「ありがとう」
 乙葉が言った。
「どういたしまして」
 照れながら、ルーカスが返事をした。
「じゃあ、みんなのところにいこうか」
 乙葉がうなずくと、ルーカスと乙葉は、隣同士になって空中に浮かび、下で待っているみんなの元に向かって、ゆっくりと下りていった。
 その途中、まわりの景色をなんとなしに見ていた乙葉は、偶然、下でレールを支えている、白くて長い柱の一部分が、きらりと光ったのを目にした。そこになにか物があるようだ。乙葉はやけに光って目立つその物に、目が釘付くぎづけになった。
(なんだろう、あれは)
 そう思った乙葉は、すぐに、
「ねえ、なにかあそこにあるわよ」と、指をさしてルーカスに教えた。
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