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6 乙葉大ピンチ
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「行くぞ」
そう囁いたあと、一瞬、乙葉の顔が頭によぎった。久遠はそのまま、パチンと音を立てて、ついに青い線を切った。
(本当に、切ってしまった……)
すこしの沈黙が流れてから、
『切ったか?』と、確認するように京一が尋ねた。
「はい、切りました」
声をはずませながら、久遠が言った。
「でも、なにも起きません。つまりこれは、成功したってことでいいですよね?」
『ああ、成功だ!』
京一が大喜びしているのが、トランシーバーごしに伝わってきた。
『お前、やっぱり持ってるな』
「ありがとうございます」
久遠はやり切ったように、放心状態になっていた。
『それで、どっちの線を切ったんだ?』
興味がある様子で、京一が聞いた。
「青です」
『青? なぜだ?』
「それは……秘密です」
久遠の声は言っている間に、段々とか細くなった。
「そんなことよりも、これを止めてどうするんですか?」
『ああ、ある地点で久遠がボタンを押して、一度レールを爆発させれば、それが引き金となって、操作台はまたいうことを聞くはずだ。そうなったらまた、最初に車両を止めた時とおなじ要領で、レールがこわれている地点に着くまでに、ジェットコースターを停車させればいい』
淡々と京一が言った。
「それでもし、車両が止まらなかったらどうするんですか?」
不安げに久遠が尋ねた。
『どうしようもない。でも、もうこれしか方法がないんだ』
もうお手上げだというように、京一が言った。
そう囁いたあと、一瞬、乙葉の顔が頭によぎった。久遠はそのまま、パチンと音を立てて、ついに青い線を切った。
(本当に、切ってしまった……)
すこしの沈黙が流れてから、
『切ったか?』と、確認するように京一が尋ねた。
「はい、切りました」
声をはずませながら、久遠が言った。
「でも、なにも起きません。つまりこれは、成功したってことでいいですよね?」
『ああ、成功だ!』
京一が大喜びしているのが、トランシーバーごしに伝わってきた。
『お前、やっぱり持ってるな』
「ありがとうございます」
久遠はやり切ったように、放心状態になっていた。
『それで、どっちの線を切ったんだ?』
興味がある様子で、京一が聞いた。
「青です」
『青? なぜだ?』
「それは……秘密です」
久遠の声は言っている間に、段々とか細くなった。
「そんなことよりも、これを止めてどうするんですか?」
『ああ、ある地点で久遠がボタンを押して、一度レールを爆発させれば、それが引き金となって、操作台はまたいうことを聞くはずだ。そうなったらまた、最初に車両を止めた時とおなじ要領で、レールがこわれている地点に着くまでに、ジェットコースターを停車させればいい』
淡々と京一が言った。
「それでもし、車両が止まらなかったらどうするんですか?」
不安げに久遠が尋ねた。
『どうしようもない。でも、もうこれしか方法がないんだ』
もうお手上げだというように、京一が言った。
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