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6 乙葉大ピンチ

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 やけに低い声で、あわれみを買うような言い方をして、京一が言った。
『久遠、お前だけが頼りだったんだが、無理なら仕方ない。俺はお前のこと、意外と運も度胸もあるやつで、見直したと思っていたんだけどな』
 それを聞いた久遠は、突然、ピクッと体を動かし、
「ああ、わかりました」と、腹を立てながら半分やけくそになっていうと、いきおいよく立ち上がった。
「京一くんがいうその方法で、確実に乙葉さんは助かるというんですね?」
『そうだ』
 京一が答えた。
「そこまでいうなら、命がけでやってやりますよ! ただし、これはすべて乙葉さんのためです! 京一くんのためでも自分のためでもありません」
 久遠は声を張り上げた。
『もちろん、そんなことはわかってるさ』
 さらりと京一が言った。
「本当にわかってますか?」
 疑いながら久遠が言った。
「もし僕が死んだら、その勇姿を、必ず乙葉さんに伝えてくださいね」
『おいおい、最初から死ぬつもりでどうするんだ』
 呆れながら京一が言うと、
「生きるつもりに決まってますよ。念のためです」と、久遠が言った。
『ならよかった』
 京一は、久遠の言葉で安心したようだった。
『大丈夫だ、久遠ならきっとできる』
 京一の励ましを聞いても、久遠の心は晴れることなく、不安はつのっていくばかりだった。
(乙葉さんの命は僕にかかってる……絶対にやってみせるぞ)
 こぶしを強くにぎり、気った久遠がそう思った。
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