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6 乙葉大ピンチ
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「久遠、乙葉はまだか?」
レール横の坂道になっている通路を上りながら、京一がトランシーバーに向かって話した。
『はい。いま、乙葉さんはジェットコースターの終盤にいて、もうすぐ、僕のいる乗り場までやってくるところです』
操作室にいてモニターを見ているはずの久遠の声が、トランシーバーを通じて響いた。
「そうか。なら、それまでには頂上についておかないとな」
勇み立って京一が言った。
『はい。歩くスピードを、もう少し速くした方がいいかもしれませんね』
久遠が忠告した。
『もちろん、あくまで安全に、ですけど』
「わかってる」
京一が言った。
『それにしても、本気ですか?』
トランシーバーから、久遠の不安げな声が聞こえた。
「なにがだ?」
『その、あの計画ですよ』
警戒した久遠が、声を低くしてボソッと言った。
「本気に決まってるだろ」
はっきりとした声で京一が言った。
『そうですか……』
その声を聞くに、なにやら悪い方に考えている久遠の顔が、安易に想像できた。京一はそんな久遠にたいして、無理もないとは思ったが、乙葉を助けるため、やるしかないという割り切った気持ちでいた。
『でも、くれぐれも、あまり無茶はしないでくださいね』
久遠が言った。
「ああ、もちろんだ」
即座に京一が返事をした。
『それと、乙葉さんの命は必ず、必ず、守ってくださいね』
久遠が釘を刺した。
京一は苦笑すると、
「お前、なかなかしつこいな。そんなに乙葉のことが心配なのか」と言った。
『当然です』
眼鏡をずらす音とともに、久遠の声がトランシーバー越しに聞こえてきた。
『だから頼みましたよ』
「言われなくてもわかってる。心配するな、俺に任せろ」
そう言うと、京一はトランシーバーを口元から離し、一度電源を切った。
♢♢♢
レール横の坂道になっている通路を上りながら、京一がトランシーバーに向かって話した。
『はい。いま、乙葉さんはジェットコースターの終盤にいて、もうすぐ、僕のいる乗り場までやってくるところです』
操作室にいてモニターを見ているはずの久遠の声が、トランシーバーを通じて響いた。
「そうか。なら、それまでには頂上についておかないとな」
勇み立って京一が言った。
『はい。歩くスピードを、もう少し速くした方がいいかもしれませんね』
久遠が忠告した。
『もちろん、あくまで安全に、ですけど』
「わかってる」
京一が言った。
『それにしても、本気ですか?』
トランシーバーから、久遠の不安げな声が聞こえた。
「なにがだ?」
『その、あの計画ですよ』
警戒した久遠が、声を低くしてボソッと言った。
「本気に決まってるだろ」
はっきりとした声で京一が言った。
『そうですか……』
その声を聞くに、なにやら悪い方に考えている久遠の顔が、安易に想像できた。京一はそんな久遠にたいして、無理もないとは思ったが、乙葉を助けるため、やるしかないという割り切った気持ちでいた。
『でも、くれぐれも、あまり無茶はしないでくださいね』
久遠が言った。
「ああ、もちろんだ」
即座に京一が返事をした。
『それと、乙葉さんの命は必ず、必ず、守ってくださいね』
久遠が釘を刺した。
京一は苦笑すると、
「お前、なかなかしつこいな。そんなに乙葉のことが心配なのか」と言った。
『当然です』
眼鏡をずらす音とともに、久遠の声がトランシーバー越しに聞こえてきた。
『だから頼みましたよ』
「言われなくてもわかってる。心配するな、俺に任せろ」
そう言うと、京一はトランシーバーを口元から離し、一度電源を切った。
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