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5 地獄行きジェットコースター

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 話を聞いていた乙葉が、ふびんな銀司を同情すると同時に、納得して思い詰めた顔をした。
 乙葉たちがこの遊園地にきてからはじめて、ずっと人を殺したがっていたバーサークに、人間が殺された。乙葉の心の中では、その事実をまだのみ込みたくはない気持ちと、どうにかして助けられなかったのかという後悔の気持ちの両方があった。
 悪い人たちではあったけれど、心の中の、どこか奥の方では、優しい気持ちもきっとあったにちがいない。だから、できることなら生きていてほしかった。
 考えたくはなかったが、いつかは自分たちもこうなるのではないかという悪い想像が頭に浮かんできて、乙葉はその想像を消し去ろうと、かぶりを振るった。
 すると、これまで大人しく歯を食いしばって、亡くなったふたりのことを考えていたであろう銀司は、ガタリと音を立てながらテーブルを動かし、なにかに取りかれたように、京一の方によろめきながら向かった。
 なにをするのかと思いながら黙って見ていると、銀司は京一の服をつかみ、錯乱したようになりながら、
「なあ、あの野郎はなんだ?」と、目をひんむきながら、凄まじい形相で聞いた。
「こんな狂った遊園地で、俺たちを閉じ込めて殺そうとしてやがるのか?」
 銀司に服をつかまれて、身動きが取れなくなっている京一は、うろたえもせず、
「あいつはバーサークという名の殺人鬼だ。夜中にだけ行動する。だから、やつがいる夜中だけは——もう言ってもおそいだろうが、むやみに園内を出歩かない方がいい。それと、あいつがそうしている意図についてだが、俺たちにもわからない。でも、きっといつかは明らかになることだろうさ。いまは考えても仕方がないことだ」と、淡々と説明した。
「なんだ、それ……」
 呆気ないような声を出して、銀司は京一の服をつかむ力をゆるめた。
「ちっくしょう、ああ、もう訳わかんねえ」
 ショックな出来事があったあとで、正気を失ってしまった銀司を見て、乙葉たち四人は、それぞれ心底哀れみを感じているような顔をして、その場に佇んだ。
「ただ財宝を探しにきただけだってのによ。とんだ災難だぜ」
 京一から顔を背けて、銀司が呟いた。
「で、お前はなぜ気を失っていたんだ? ふたりを失ったショックでか?」
 自分の服をつかんでいる銀司の手を離しながら、京一が言った。
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